島根
【天佐志比古命神社】隠岐で唯一の歌舞伎を演じる一宮神社
島根半島沖に浮かぶ、4つの有人島と約180もの無人島からなる隠岐諸島(おきしょとう)。古事記の国生み神話にも記載されるなど、とても歴史深い島としても有名です。4つの有人島のうち「知夫里島(ちぶりじま)」は1番小さな島ですが、かつて遠流された後醍醐天皇が最初と最後に訪れた地と言われ、それにまつわるスポットが今も残されています。今回は知夫里島にある唯一の式内小社「天佐志比古命神社(あまさしひこみことじんじゃ)」の見どころや行き方についてご紹介します。
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撮影:りとふる編集部
「一宮さん」として親しまれる式内小社
島根県隠岐諸島にある「知夫里島(ちぶりじま)」は、断崖絶壁のダイナミックな光景や島前カルデラの雄大な景色を一望できる展望台など見どころがたくさんあります。4つの有人島の中で1番小さな島なのでそれぞれの観光スポットを回りやすく、電動自転車E-BIKEをレンタルすれば車がなくても島内観光できるのが特徴的な離島です。隠岐諸島のその他の島と比べると、現存する神社の数は少ないですが全国的にも貴重な歌舞伎の舞台装置や後醍醐天皇が腰掛けたと言われるスポットがあるなど、豊かな自然だけではなく貴重な歴史も残されています。
知夫里島にある唯一の式内小社「天佐志比古命神社(あまさしひこみことじんじゃ)」は、その地域(かつての国)で最も社格が高い一宮(いちのみや)ではありませんが、地元の方に「一宮(いっくう)さん」と呼ばれ親しまれ、鳥居の扁額にも「一宮神社」と記されています。
一宮さんに限らず、知夫里島では親しみを込めて神社に“さん”を付けて呼ぶことが多いそうです。隠岐国の一宮(いちのみや)ではないものの、知夫里島での一宮(いちのみや)として信仰されていたのではないでしょうか。
知夫漁港がほど近く海が見える高台に建てられている天佐志比古命神社ですが、その先には主祭神 天佐志比古命が最初に降り立った場所だと言い伝えられている無人島「神島(かんじま)」があります。今も神聖な場所として知られる神島を敬い、天佐志比古命神社が神島に向いて建てられているため、このように階段が斜めに作られているそうです。
天佐志比古命神社の拝殿には立派なしめ縄が付けられています。また、拝殿の奥にある本殿は春日造変態です。
天佐志比古命神社では2年に1度、7月下旬に2日に渡って夏季例大祭が行われます。知夫里島が発祥の地として知られる島前神楽や「白波五人男」という歌舞伎が村民によって演じられます。隠岐諸島では島前神楽・島後神楽と呼ばれる神事がそれぞれ地元の方々によって保存・伝承されていますが、歌舞伎が演じられるのは唯一知夫里島の伝統です。芝居小屋の正面が石段状の観覧席になっていて、近年では地元の中学生が歌舞伎を舞い、例大祭のトリを飾ります。
一見普通の芝居小屋のように見えますが、中は舞台の床中央が丸く切られて回すことができる廻り舞台と呼ばれる歌舞伎の舞台になっています。神社の境内に野外観覧席付きの廻り舞台がある芝居小屋があるのは、全国でも知夫里島と淡路島の2か所のみで、とても貴重な知夫村の有形文化財に指定されています。
拝殿に向かって右側には「後醍醐天皇御腰掛の石」があります。元弘2年(1332年)、鎌倉幕府によって島流しにされた後醍醐天皇は、まず始めに知夫里島の仁夫里の浜に辿り着き、その後西ノ島の行在所へと移りました。その際、天佐志比古命神社にも立ち寄り、この石に腰掛けたと言われています。配流されたと言えども天皇という身分の高い方であることに変わりはなく、地面に足を付けることがないようにこのような高い石に腰掛けたのではないかなど、様々な想像が膨らみます。
天佐志比古命神社
島根県隠岐郡知夫村1018
御朱印あり(来居港フェリーターミナル内にある知夫里島観光協会にて)
天佐志比古命神社への行き方
隠岐諸島 知夫里島の玄関口となる来居港(くりいこう)から天佐志比古命神社までは、徒歩でも約20分で行くことができるので町並みを見ながら歩いて行くのがおすすめです。島内を1周観光する場合は車で回ると便利ですが、天佐志比古命神社には駐車場がないので、周囲の迷惑にならないように配慮をして停めましょう。また、知夫里島ではレンタカーの台数がかなり限られているので、利用予定がある方は早めに予約するのがおすすめです。ちなみに、電動自転車E-BIKEでも島内を1周できるので、レンタカーがない場合はE-BIKEの利用を検討してみてはいかがでしょうか。レンタカーとE-BIKEの予約は知夫里島観光協会のホームページの問い合わせ、または直接電話で受け付けています。
来居港~天佐志比古命神社…車で約5分、徒歩で約20分
知夫里島観光協会TEL:08514-8-2272
最後に
知夫里島で「一宮さん」と呼ばれ親しまれている「天佐志比古命神社」についてご紹介しました。海を眺めることができる見晴らしの良さだけではなく、歴史と伝統がある神社が今も村民の方々の手で守られているのを感じることができる場所です。ぜひ「知夫里島」に訪れる際は、訪れてみてはいかがでしょうか。