島根
【伊勢命神社】隠岐最古の神楽殿が残る格式高い神社
隠岐諸島にある4つの有人島のうち「島後(どうご)」と呼ばれ、最も面積が広い隠岐の島町。島の北西部にある「伊勢命神社(いせみことじんじゃ)」は、周囲を山に囲まれひっそりと佇むように建てられています。また、島根県内でも数少ない明神大社の1つで、境内にある神楽殿とそこで奉納される島後久見神楽は隠岐で最も古くからあると言われています。島内でも他の神社とは雰囲気の異なる慎ましい姿も魅力です。今回は島後でぜひ訪れたい「伊勢命神社」の見どころや行き方についてご紹介します。
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撮影:りとふる編集部
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ロマンと歴史が詰まる「伊勢命神社」
島根県隠岐諸島にある4つの有人島のうち、島後(どうご)と呼ばれている隠岐の島町は現在も70近くの神社が残り、神社巡りをするために観光客が訪れている離島です。現在の島根県内には出雲大社を含む6社しかない明神大社と呼ばれる格式の高い神社のうち、4社が隠岐諸島にあります。島後には2つあり、伊勢命神社(いせみことじんじゃ)と水若酢神社(みずわかすじんじゃ)があります。
島後の2大神社の1つの伊勢命神社ですが、そう呼ばれるのは延喜式神名帳に明神大社と記された格式があるということで、拝殿には「明神大」と書かれた扁額も飾られています。実際に訪れてみると、そのひっそりとした佇まいに驚く方もいるのではないでしょうか。
明神大社と聞いていたので、水若酢神社や出雲大社のような豪華な神社を想像していましたが、いざ鳥居の前に着くと想像していたものとはギャップがあり、周囲の自然に馴染みながらひっそりとした雰囲気を漂わせていました。
山と山の間のわずかな平地に建てられているような印象を受けるほど、境内の背後も正面も木々の緑に囲まれています。
伊勢命神社の本殿は、この周辺の久美集落一体で天保9年(1838年)に起きた火災によって焼失し、天保12年(1841年)に現在の場所に再建されました。主祭神は隠岐独自の神・伊勢命(いせみこと)で、隠岐造の本殿は玉若酢神社や水若酢神社に次いで3番目の大きさを誇ります。
拝殿の横の岩場には、ひっそりと境内社として摂社が並べられています。
境内側から見ると正面に山が、左側(境内に向かって右)に手水舎や土俵があります。手水舎は境内に向かって左側にあることが多いのですが、伊勢命神社は通常と逆に作られています。
また、鳥居も外向きに建てられているなど、神社の正面に見えている山が御神体ではないかとも言われているそうです。ちなみに、伊勢命神社の主祭神である伊勢命は隠岐独自の神なので、三重県の伊勢神宮とは関係がないと言われていますが、左右逆の風習などが伊勢神宮と通じる部分もあり、他の神社との共通点や相違点を見つけながら参拝してみるのも楽しみ方の1つではないでしょうか。
鳥居の横に建てられた茶色い小さな小屋のような建物は、「神楽」を奉納するための神楽殿です。毎年7月の例祭では、国と県の無形民俗文化財に指定されている「島後久見神楽(どうごくみかぐら)」が奉納されます。隠岐で1番古くからの歴史があり、神楽は午後9時から朝方4時頃まで夜通しで行われ、2畳ほどの狭い空間で舞う古い形の舞いが地元の方々によって今も伝承されています。雨乞いや大漁祈願のために舞い、地元に根付く神事として色濃く残されています。
また、かつて隠岐は、真っ黒でガラス成分を含むためきらめきを放つ黒曜石が西日本有数の産地として知られていました。割れた断面がとても鋭利な特徴を活かし、旧石器時代から石器として使われていたり、国内外に輸出されるなど様々な歴史が残されています。島後の中でも伊勢命神社がある久見地区は黒曜石の産地として有名で、現在島後で唯一黒曜石の加工を行うお店が残っています。
伊勢命神社への行き方
伊勢命神社は島後の北西部にある久美地区の山の麓に建てられています。西郷港から車で約30分ですが、駐車場がないため道を塞がないように配慮しながら停めましょう。
西郷港~伊勢命神社…車で約30分
隠岐空港~伊勢命神社…車で約30分
最後に
隠岐諸島にある式内社の中でも特に格式高い明神大社である「伊勢命神社」についてご紹介しました。きらびやかさはないものの、その荘厳な雰囲気や歴史、今も受け継がれ続けている「島後久見神楽」など、知れば知るほど魅力が増す神社です。ぜひ実際に訪れて、現地でしか感じることのできない雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。