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鹿児島

屋久島を五感で味わう新たな森の楽しみ方「森林浴」の体験レポート

2023.03.10

屋久島を五感で味わう新たな森の楽しみ方「森林浴」の体験レポート

世界自然遺産に登録されている鹿児島県の離島「屋久島(やくしま)」は、豊かな自然が広がり、面積の大半を山地が占めるなど“洋上アルプス”とも呼ばれています。縄文杉や九州最高峰の宮之浦岳(みやのうらだけ)の登山やトレッキングが人気のアクティビティとして知られていますが、近年はゆっくりと森の中で過ごす疲れない森の遊び方「森林浴」が注目を集めているのをご存知でしょうか。写真だけでは伝わらない、豊かな森で実際に体験した人だけが感じることができるリトリート体験です。今回は屋久島の森の中でマインドフルネスを実感する「森林浴」のツアーに参加したので、過ごし方や持ち物、服装などについてご紹介します。

#鹿児島県 離島 #屋久島 観光 #観光スポット #アクティビティ
撮影:りとふる編集部



屋久島とアクティビティについて

屋久島_縄文杉②_210430

画像提供:PIXTA

世界自然遺産に登録されている鹿児島県の離島「屋久島(やくしま)」は、面積の大半を山地が占めています。九州最高峰の宮之浦岳(みやのうらだけ)など1,000mから1,900m級の山々が連なり、“洋上アルプス”とも呼ばれています。九州本土からさらに南の島でありながら日本の北から南まで様々な地域で生息する植物を見ることができる貴重な土地で、“日本の縮図”とも称されます。豊かな山や森と海に囲まれ、トレッキングや登山、ダイビングやシュノーケリングなど自然を満喫できる様々なアクティビティを楽しむ目的で多くの観光客が訪れています。

屋久島_トレッキング_220202

画像提供:PIXTA

屋久島のアクティビティといえば、山登りやダイビングなどが有名です。しかし、屋久島のシンボルとして有名な推定樹齢2100年〜7200年とされる縄文杉へ行くには往復約10時間の本格的なトレッキングが必要となるなど、ハードルが高いと感じている方や、縄文杉は1回見たのでもう屋久島は十分だと考える方も中にはいるのではないでしょうか。

屋久島_森林浴_211223

屋久島ではトレッキングや登山のように目的地や頂上を目指すのではなく、森の中でゆっくりと過ごし木々に触れたり心身をリラックスさせたりするリトリートを目的とした「森林浴」を体験することができます。実際に体験ができるアクティビティショップはまだ少ないのですが、リピーターの方も多い新たな人気アクティビティの1つなので、屋久島へ旅行に行く方はぜひ検討をしてみてください。

森林浴で五感を研ぎ澄ます癒しの時間

今回は屋久島で森林浴専門のアクティビティショップ「森呼吸(しんこきゅう)」のツアーに参加しました。森でのアクティビティといっても長距離を歩くことがメインではないので、体力的な負担もなく筋肉痛とも無縁です。そんな森林浴を実際に体験したのでご紹介します。

屋久島_宮之浦港_230227

今回のツアーでは宿泊施設まで送迎してもらうことができました。送迎対象の宿泊施設に関しては予約の際に問い合わせてください。今回は屋久島旅行最終日の午前中に森林浴ツアーを予約していたため、早朝にホテルのチェックアウトを済ませ、荷物をすべて送迎車に乗せてもらい、朝焼けを眺めながら良い1日のスタートを切ることができました。

屋久島_森林浴・神社_230227

まずは神社に立ち寄って、これから山に入らせていただくことを山の神様にご挨拶します。その後、今回の森林浴を行う森まで山道を車で移動します。いくつかのモデルコースがありますが、当日の天候や参加者の話を聞きながらぴったりなコースを選んでもらいました。

屋久島_森林浴⑦_230227

この日は連休中だったこともあり、屋久島にも人が多かったのですが、森に入ってみると貸切状態で誰もいない静かな森の音だけを聴くことができました。

屋久島_森林浴⑧_230227

少し森の中に入って自分が気に入った岩を見つけて座ります。岩の大きさや温度感、硬さや空間の匂い、風、音など目を閉じて様々なことを感じる時間を楽しみます。人は視覚からの情報が多過ぎると言われていますが、目を閉じて視覚以外の感覚で屋久島の山や森を感じていきます。

屋久島_森林浴⑤_230227

山や森に行くと癒されたりリフレッシュをしたりする感覚になった経験がある方も多いかもしれませんが、これはフィトンチッドという木々から発される成分の効果で、科学的に証明されていることも様々あるそうです。ただし、トレッキングなどでは動植物や文化など様々な説明をしてもらいながら進んで行きますが、森林浴では自然を感じることに重きを置いているので、あえて説明はしないそうです。しかし、初めのうちは何かと気になってしまい、こちらが質問をしたことに関しては丁寧に教えてもらうこともできました。次第に森林浴のペースにも慣れていき、感じる部分にフォーカスができるようになっていました。

屋久島_森林浴⑨_230227

今回は歩きながらざっくりと希望を聞いてもらい、森の中を進んで行きました。川の水に触れたり岩場を登ったりして、程良い場所でシートを広げて休憩をします。裸足になると、シート越しでも岩の凹凸やひんやりとした冷たさを感じられます。

屋久島_森林浴⑪_230227

湧水で手を洗い、ガイドさんから温かいコーヒーと甘いお餅のような屋久島のお菓子をいただきました。まずは見て、においを嗅いで、少し触って…と、しっかりと食べる前から感覚を使って食べることを楽しみます。その後、ほんの少しだけ口に含むと口の中に甘さが広がるのを感じることができました。普段食事をする時に、こんなにもゆっくりと素材を味わおうとする感覚自体がなかったので、とても新鮮な体験だと感じました。

屋久島_森林浴⑩_230227

シートにごろごろと寝転がりながら、ルーペを使って苔や水滴を観察します。ルーペを使ってこんなに繊細な模様にまで注目をしたことがなかったので、屋久島の苔の新たな一面を発見した気持ちになりました。苔の他にも、葉っぱに付いた水滴が輝く様子はとても興味深くなるほど美しく、時間を忘れて楽しみました。

屋久島_森林浴④_230227

その後、少し移動をして森の木々に触れに行きました。たくさんある木々に触れながら、自分のお気に入りの幹を探していきます。触れた時の直感や目を閉じて感じる何かを頼りにたくさんの木を触ったり、音を聴いたり、抱きしめたりしていきます。

屋久島_森林浴_230227

そして、自分が見つけたお気に入りの木にハンモックを付けてもらい、少しの時間の間、目を閉じて森を感じます。この日は11月下旬ということもあり、寒くないようにマットレスや防寒シートなどでくるんでもらったのですが、なんだか木にいるミノムシになったような気持ちで楽しめました。

屋久島_森林浴⑥_230227

目を開けると、真っすぐに伸びる木々の間に光が射し、光で透き通った葉がたくさん煌めきます。聞こえるのは近くの川に流れる水の音、森に吹く風で葉が揺れる音だけで、心がすーっと軽くなるような感覚を味わうことができました。きっと体験した人にしか分からない感覚ではないでしょうか。

屋久島_森林浴_230227

大きな木が倒れた後の株からは、次々と新しい新芽が生えていました。屋久島の森は様々な理由で倒れた木々のおかげで、新たな新芽が芽吹き、自然のサイクルが巡っている様子をよく目にします。登山の時よりも間近で見ることができ、より細部まで覗いてみたくなる感覚と生命力を強く感じます。

屋久島_森林浴⑫_230227

森林浴の最後はコーヒーで再度温まった後、瞑想をします。私は瞑想をすること自体が初めての体験で、できているのかどうかは正直分からないのですが、すっきりする感覚を感じることができたのと、森の中でこんなにゆっくりと何も考えないという経験をしたことがなかったので、とても貴重な時間を過ごしたという満足感に満たされました。

屋久島_森林浴⑧_230227

このように、視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感を研ぎ澄ませていくような感覚で森の中を楽しみました。森林浴や瞑想など初めての体験でしたが、森を肌で触れて感じながらマイナスイオンをたっぷりと浴びて非日常の時間はあっという間に過ぎてしまい、とてもリフレッシュすることができました。日常の仕事や生活はもちろん、トレッキングや登山など楽しくも疲れた身体を癒しにくる方もいるそうです。このリトリートの感覚は実際に訪れて体験した人にしか分からない最高の感覚だと思います。すでに屋久島に行ったことがある方、初めて屋久島に行く方のどちらにもおすすめのアクティビティです。



森林浴で準備しておく物と服装

屋久島_森林浴②_230227

今回のツアー参加の際、何を準備すれば良いのか、服装はどうすれば良いのかなど不安もあったので、これから初めて「森林浴」を体験する方に向けて準備する物や服装についてご紹介します。

まず、森林浴に必要なものは動きやすい服装と飲み物だけです。また、動きやすい服装といってもスカートやワンピースでなければ、トレッキングウェアのような特別なものでなくても問題ありません。汚れても気にならない普段着などでも参加は可能です。
屋久島の平地は温かい時期でも山地に入ると標高も上がり、肌寒く感じることがあるので着脱しやすい上着を持参するのがおすすめです。今回は11月下旬の早朝のツアーということもあり、いつ雪が降ってもおかしくないとのことで、上着だけではなく手袋や帽子などの大袈裟かもと思うくらいの防寒対策をすることをガイドさんにすすめられ、厚手の上着も着用して参加しました。ただし、今回はロングコートを着用していますが、ダウンやフリースのように短い丈の羽織だと動きやすく過ごしやすいと感じました。
詳細については、予約の際にガイドさんに尋ねてみてください。今回は初めての体験でしたが、丁寧に質問に応じてもらえたため安心して当日を迎えることができました。

屋久島への行き方

鹿児島県の離島である屋久島への行き方を船と飛行機に分けてご紹介します。

【屋久島まで船でのアクセス】
鹿児島本土の鹿児島本港から屋久島まで
高速船:宮之浦港・安房港まで約2時間/フェリー:宮之浦港まで約4時間

【屋久島まで飛行機でのアクセス】
2023年2月現在、屋久島への直行便が就航しているのは鹿児島・福岡・大阪国際(伊丹)空港の3つのみです。その他の地域から屋久島へ行く場合は、こちらの3つの空港で乗り継ぎが必要ですが、鹿児島空港発着便が1番運航数が多いので旅程を組みやすくおすすめです。鹿児島への直行便がない地域は大阪または福岡を経由すると良いでしょう。

鹿児島空港~約30分、福岡空港~約55分、大阪国際(伊丹)空港~約1時間35分

最後に

初めて体験した屋久島でのアクティビティツアー「森林浴」についてご紹介しました。屋久島旅行というと、縄文杉や白谷雲水峡、宮之浦岳など登山やトレッキングを経験している方は多いかもしれませんが、ゆっくりと森の中で過ごす時間は非日常を楽しめる新鮮な体験で、想像していた以上に素敵な時間を過ごすことができました。ぜひ実際に森林浴を体験して、屋久島の森のパワーを存分に感じてリトリートしてみてください。新たな屋久島の魅力を発見できるのではないでしょうか。

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