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鹿児島

【西部林道】野生のサルとシカに会える屋久島の世界遺産地域をドライブ

2023.01.25

【西部林道】野生のサルとシカに会える屋久島の世界遺産地域をドライブ

世界自然遺産の離島「屋久島(やくしま)」の西側半分に延びる「西部林道(せいぶりんどう)」は、野生のサルやシカを見ることができる人気のドライブコースです。島をぐるっと1周結ぶ外周の道路の途中に位置する西部林道では世界自然遺産の森を、またその前後では東シナ海の大海原を眺めながらドライブを楽しむことができます。野生の生き物たちを見ることができるため魅力的な反面、ドライブの際に気を付けたい注意ポイントがいくつかあるので、今回は「西部林道」でのドライブについてご紹介します。何に注意をすれば良い?ガイドは必要?誰でも行けるの?など訪れる前にぜひチェックしてみてくださいね。

#鹿児島県 離島 #屋久島 観光 #屋久島 ドライブ #観光スポット
撮影:りとふる編集部



世界自然遺産の離島「屋久島」とドライブ事情

屋久島_翁岳とげんこつ岩_220221

画像提供:PIXTA

鹿児島県の大隅半島・佐多岬から南南西約60kmに浮かぶ「屋久島(やくしま)」は、島のほぼ全域が山地です。九州最高峰の宮之浦岳(みやのうらだけ)や次に標高が高い永田岳(ながただけ)など1,000mから1,900m級の山々が連なり、“洋上アルプス”とも呼ばれています。九州本土からさらに南の島でありながらも亜熱帯植物から山頂付近の亜高山帯の針葉樹林まで、屋久島という1つの島の中だけで日本の北から南までの植物を見ることができる貴重な土地です。その生物多様性が評価されたのが、世界遺産に登録された理由の1つです。

屋久島_西部林道_210112

画像提供:PIXTA

このように自然豊かな山や森がある一方、島を1周ぐるっと囲うように県道77号線・78号線が整備されているので、ドライブを楽しむことができます。屋久島は周囲約130kmの五角形を丸めたような形で、道路は1周約100kmほど、観光をせずに車で通るだけであれば約2時間~3時間で1周することができます。また、島内ではバスが運行していますが本数が少なく、西部林道を通るバスはありません。そのため、自由に観光をしたい方はレンタカーがおすすめです。また、事前予約をするとフェリーに車を乗せて屋久島へ渡ることもできます。島内には4つの急速充電器と11の普通充電器が設置されているので、電気自動車ユーザーも安心してドライブを楽しむことができますよ。

世界自然遺産地域を唯一走れる西部林道

人気のドライブコースとして知られる「西部林道」は、島の外周を結ぶ道路のうち島の南西部に位置する栗生(くりお)から北西部の永田を結ぶ海岸沿いの約20kmのことを指します。そのうち瀬切大橋(せぎれおおはし)から屋久島灯台入口手前までの約15kmは世界自然遺産地域に含まれ、野生のヤクザルやヤクシカが自由気ままに過ごす姿を車の中から見ることができます。
世界自然遺産地域を車で走ることができる唯一のスポットで、一般的に観光スポットとして知られている西部林道は世界自然遺産地域のことを指すことが多いようです。

屋久島の海の玄関口となる安房港(あんぼうこう)や宮之浦港(みやのうらこう)、空の玄関口となる屋久島空港は島の東側にあるので、観光客が訪れるには車をレンタルして移動する必要があります。島の反対側と言っても、屋久島空港から1時間程度で行くことができるのでぜひ訪れてみてください。



レンタカーで西部林道をドライブ

屋久島_一湊海水浴場_220612

画像提供:PIXTA

今回は宮之浦港(みやのうらこう)近くでレンタカーを借りて観光をしたので、北部を経由して永田から栗生方面に向かってドライブをしていきます。シュノーケリングスポットとして知られる一湊(いっそう)海水浴場やウミガメの産卵地として有名な永田いなか浜を通り、永田集落を抜けた辺りからが西部林道と呼ばれる道に入ります。

屋久島_県道_230125

山側には木々が茂り、海側は木々の間から時折海が見えたり、開けた場所からは水平線を眺めることができます。ドライブをするだけでも屋久島の大自然を感じることができますよ。

しばらく道を進んで行くと、徐々に野生のヤクザルやヤクシカが現れてきます。思っていたよりも少ないようにも感じましたが、それも束の間、気付けば目の前にはヤクザルやヤクシカがたくさん道路で戯れていました。周りには世界自然遺産登録のポイントでもある照葉樹林と呼ばれる常緑広葉樹が茂る森が広がっています。西部林道ではほぼ100%の確立で野生のヤクザルやヤクシカに出会えます。ただし、車から降りて森の中を歩いてみたい方は、ガイド付きツアーに参加しましょう。

屋久島_西部林道②_210112

画像提供:PIXTA

毛づくろいをするヤクザルの親子やエサを探すヤクシカ、昼寝をしている親子もいました。道路を塞いでいることを気に留めるわけもなく、のんびりと過ごしている姿を見ることができました。あまりにもたくさんいるので、野生の生き物たちだということを忘れてしまいそうになるほどです。

屋久島_西部林道③_230125

西部林道周辺は照葉樹林が茂り、ヤクザルやヤクシカが群れで過ごしているそうです。このヤクシカは昼寝から目覚めるところで、のっそりと動く姿がかわいらしかったです。また、動物の飛び出しを注意喚起する看板もかわいかったので、ぜひ探してみてくださいね。

屋久島_西部林道②_230125

なかなか道を空けてもらえず少し戸惑いつつも、ある時はヤクザルの群れに先導してもらっているかのような光景になり、思わず笑ってしまいました。ゆっくりと進むと少しずつ移動してもらうことができたので、焦らず少し待ちながら進んでみてください。

西部林道を通る時の注意点

屋久島_西部林道②_220612

画像提供:PIXTA

野生の生き物たちを間近で見ることができる西部林道は道が整備されているとはいえ、車がすれ違えないほどの細い道もあります。また、野生の生き物たちを見る際にいくつかの注意点もあるので、気を付けたいポイントと対策をお伝えします。

・車の運転に注意!
まず始めに西部林道、特に世界自然遺産地域内はかなり細い道が多いです。途中から1車線になり、中にはすれ違いができないほどの狭い道や、片側が崖ギリギリのような道、木々が茂って見通しがあまり良くない場所もあります。急に対向のカーブから車が現れることや、人では絶対に歩けないような急斜面からヤクザルが飛び出てくることもあるので、西部林道を運転する際はいつも以上に安全運転を意識してくださいね。すれ違いができないほどの狭い道もありますが、狭い道の前後には対向車が来た場合に車を避けられる避難スペースが設けられているので、運転をしながらどの辺りにスペースがあるか意識していると落ち着いて対応することができますよ。

・車の窓を全開にしない
西部林道付近では海沿いを通るので、窓を開けるととても清々しい風を感じることができます。ただし、ヤクザルやヤクシカたちが現れ始めたら車の窓を閉めるのがおすすめです。西部林道の生き物たちは車に慣れていることもあり、車に対する恐怖心が少ないようです。車内から観察していると、手を伸ばせば届きそうなほど近くに来ることもあるかもしれません。しかし、野生の生き物でいつ襲ってくるか分からないので、なるべく窓の開け幅を小さくして、万が一に備えておくのが良いと教えてもらいました。

・道を塞がれてもクラクションを鳴らさない
ヤクザルもヤクシカも道を塞いでなかなか動いてくれないことがよくあります。どうしようか迷った結果クラクションを鳴らしたい気持ちもよく分かりますが、大きな音に驚いて予期せぬ行動を誘発してしまう可能性もあります。特に繁殖期や子育て中の場合は、より敏感になると言います。動いてくれない時は、ぶつからない距離までゆっくりとした速度で徐行すると、重たい腰を上げてくれるようです。その気まぐれさも楽しむくらいの余裕を持って訪れるのもポイントですね。

・食べ物を与えない
とてもかわいらしいヤクザルやヤクシカですが、決して餌付けをしてはいけません。人間の食べ物の味を覚えてしまうと野生の生態系に悪影響を及ぼします。フルーツなどでも1度餌付けをしてしまうと、餌をもらえると思って人間を襲うようになる可能性もあるためとても危険です。また、「屋久島町猿のえ付け等禁止条例(屋久島町ホームページ)」が定められているので、違反者は過料が課せられます。かわいらしい姿は離れた場所からそっと眺めてくださいね。

・触らない
西部林道で過ごすヤクザルやヤクシカはとても穏やかにのびのびと過ごしているように見えますが、決して触らないようにしてください。攻撃されるだけでなく、人間の風邪を移してしまう可能性もあるそうです。野生生物になるべくストレスを与えないように、離れて静かに眺めてください。生き物と人間が近くで暮らすこの環境を大切にしたいですね。

・交通規制に注意
西部林道は7時~17時以外の時間帯や倒木などの影響で通行止めになる場合があるので、屋久島町ホームページなどで確認をしてから訪れると安心です。西部林道内は携帯電話の電波も届かなくなるので、訪れる前に確認をしましょう。

西部林道への行き方

屋久島_西部林道④_230125

西部林道に行くには、北部から反時計回りに永田から栗生に向かって進むか、南部から時計回りに栗生から永田に向かって進む2通りの方法があります。西部林道付近の大川の滝(おおこのたき)や永田いなか浜など各地観光スポットが外周道路沿いにあるので、その他のスケジュールに合わせて組み込むと良いでしょう。下記の移動時間はおおよその目安ですが、ヤクザルやヤクシカたちが道を塞いでなかなか前に進めないこともあるので、時間に余裕を持った旅程を計画してください。また、近くに展望所などがありますがトイレや売店はしばらくないので、事前に準備をしてから向かいましょう。

・宮之浦港~西部林道…車で約45分
・屋久島空港~西部林道…車で約1時間
・安房港~西部林道…車で約1時間

西部林道

鹿児島県熊毛郡屋久島町

駐車場、トイレなし

通行無料

通行規制に関する問い合わせ:鹿児島県熊毛支庁屋久島事務所 建設課道路係TEL 0997-46-2213

 

最後に

野生のヤクザルやヤクシカを見ることができる「西部林道」についてご紹介しました。初めての屋久島旅行の方は不安もあるかもしれません。また、生き物たちの気分次第でまったく道を進めない…なんてこともよくあります。こちらの記事を読んでしっかりと事前準備をしながら、屋久島ならではの体験を楽しんでみてくださいね。

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