鹿児島
【矢筈嶽神社】屋久島の海を見守る一湊集落の神社
鹿児島県の離島「屋久島(やくしま)」には、かつて各集落ごとに神社が設けられていました。今も多くの神社が残され、島民たちが大切に守っている場所です。特徴的な神社も多くありますが、中でも一湊集落の岬にある「矢筈嶽神社(やはずだけじんじゃ)」は、海の前に建つ朱い鳥居が遠くからでも目を引き、祠は洞窟の奥に祀られていて神秘的な空間となっています。今回は海を一望できる「矢筈嶽神社」の見どころや行き方についてご紹介します。
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撮影:りとふる編集部
屋久島の生活と神社について
世界自然遺産に登録されている鹿児島県の「屋久島(やくしま)」。島のほぼ全域が山地で、九州最高峰の宮之浦岳(みやのうらだけ)をはじめ、1,000mから1,900m級の山々が連なる離島です。山そのものを神とする山岳宗教が根付くなど、今も自然や神への崇拝の思いを大切にしている方々がたくさんいますが、かつては自動車などもなく山が多い土地柄、隣の集落に行くのも大変なことでした。
そのため、各集落ごとに暮らしの基盤があり、かつては神社も各集落ごとに建てられていたそうです。今は屋久島島内に26の集落がありますが、神社庁に登録されている神社だけでも18、その他も含めると集落の数以上に神社が残されています。各神社に訪れる際は、通常の観光地とは少し異なる信仰の場だということを忘れずに節度を持って訪れてくださいね。
矢筈嶽神社がある一湊集落
矢筈嶽神社がある一湊(いっそう)集落は、五角形を丸めたような形をしている屋久島の北側にある港町の漁業集落です。屋久島で最大の海水浴場である一湊海水浴場やダイビングやシュノーケリングスポットとしても人気の元浦(もとうら)海岸、一湊灯台などがあります。島内唯一の半島である矢筈半島に位置する矢筈嶽神社は、水平線や海を挟んで向こう側に一湊漁港を眺めることができます。屋久島の山や森の印象とはまた違った海の自然も一緒に感じることができる地域です。
下り宮の矢筈嶽神社に参拝
今回はレンタカーを借りて島内を観光した際に「矢筈嶽神社」にも立ち寄りました。矢筈岬の山を車で登って行き、鳥居が建つ高台の広場に車を停めます。車から降りると目の前には矢筈岬の緑と、水平線と空の青い景色が広がり、朱い鳥居が存在感を放っています。海も山も空も眺めることができる気持ちの良い場所でした。
鳥居をくぐると階段があり、その後坂道を下って行きます。帰りはこの坂を登らなければならず、途中ぬかるんだ道などもあったので、ヒールなどではなくスニーカーなど歩きやすい靴で行くのがおすすめです。草木がトンネルのように茂り、駐車場とは雰囲気がガラッと異なります。
途中、木々の間から海の前に建つ鳥居が小さく見えます。矢筈嶽神社は下り宮と言われ、階段や坂道を下って祠に辿り着く全国的にもめずらしい造りとされています。
鳥居の近くまで行ってみると、とても大きいことが分かります。海に向かう鳥居は洞窟の入り口に建てられています。11月後半の15時半頃に伺いましたが、それまで分厚い雲が空を覆っていたのに鳥居の前に着くと太陽が出てきて、鳥居を照らす神々しい姿を見ることができました。
洞窟の中に社殿があります。また、この奥に祠が祀られています。石碑には「八筈嶽神社」、鳥居には「矢筈岳神社」と表記されていました。近くに設置されている石碑によると、正式名称は「一湊矢筈嶽神社」というそうです。
参拝するために洞窟の中に入ると、より一層凛として神聖な空気感が漂っていました。漁業と縁結びの神様と言われ、岩場には様々な願いとともに絵馬が掛けられていました。
駐車場に建てられていた鳥居が、ここからだとこんなに小さく見えることに驚きます。海の潮風などの影響で、何度も鳥居などの建て直しをしているそうですが、その度にこの山を下りて運んでいたと思うと、どれだけこの場所が大切にされているのかを感じさせられますね。
鳥居の前には岩場が広がっていて数歩先は海の中です。ここに立つと矢筈岬の一角に造られ、周囲の山々に囲まれていることをより一層見て取ることができました。夕日に照らされる姿は神々しく、波の音と風の音だけが聞こえてきます。雄大な自然と神社の融合をぜひ実際に訪れて感じてみてくださいね。
矢筈嶽神社への行き方
屋久島の最北端、島で唯一の半島である矢筈半島に位置する一湊灯台の手前に「矢筈嶽神社」があります。宮之浦港や屋久島空港側から反時計回りに外周を繋ぐ県道を進み、一湊海水浴場の広い駐車場の手前で右折し、一湊灯台に続く海側の道に進みます。しばらく道なりに進むと分岐があるので、左の山側の道へ坂道を登ります。さらにしばらく進むと左に広場が現れ、鳥居が建てられています。駐車場に車を停めて、階段から山を下って行くと矢筈嶽神社に辿り着きます。
最後に
今回ご紹介した一湊集落にある「矢筈嶽神社」は、神社庁には「八筈嶽神社」として登録され、八筈さまとも呼ばれるそうです。地元では今も大切にしている神社なので、訪れる際は配慮の気持ちを持って訪れてくださいね。