SNS

I live with the island and stay with the island

SEARCH詳細検索

SEARCH

CLOSE

鹿児島

屋久島の移住者に聞く!縄文杉だけじゃない、真の魅力

2022.01.15

屋久島の移住者に聞く!縄文杉だけじゃない、真の魅力

1993年に世界自然遺産に登録されて以来、国内外から多くの観光客が訪れる屋久島。島のシンボルである「縄文杉」や、「白谷雲水峡」は、神秘的な癒しを求める人々にパワースポットとして人気を集めています。今回は、そんな屋久島の魅力に取りつかれ、20代で移住したあずささんに、実際に住んでみて気づいた屋久島の魅力と、その魅力を存分に味わえる穴場スポットやおすすめのアクティビティを教えていただきました。

取材協力・写真提供:シェリーココ あずささん
#鹿児島離島 #世界遺産

屋久島に移住したきっかけは?

屋久島_森2

初めて屋久島を訪れたのは、大学生の時でした。その時は縄文杉のことも知らずに、ただ友達に連れられて来ました。4泊5日間の定番スポット巡りで、縄文杉、白谷雲水峡、島内一周観光をしました。レンタカーを使わずにヒッチハイクで周ったり、縄文杉でたまたま出会った地元の方にご飯に連れていってもらったり。泊まっていたゲストハウスが屋久島のことをよく知っている方が利用されるところで、ガイドブックには載っていない知識を教えてもらったりもしました。すごく充実した5日間で、帰りのフェリーの中でなぜか号泣してしまって。よく分からない感情でしたが、離れたくなくなるほど「ここが好きだ」とその時感じました。

大学卒業後は一旦地元で就職し、仕事を辞めたタイミングで、また屋久島に一人で訪れるようになりました。地元と屋久島を行ったり来たりする生活を半年ほど繰り返す中で、やっぱり我慢できず移住することにしました。仕事も家も何も決まっていない状態で、車に必要なものだけ乗せてやって来たのですが、聞くと、他の移住者の方もそんな感じで来たとおっしゃいます。屋久島は移住者が多いと聞いていたので「私でも大丈夫かも」と後押しになりました。

屋久島_海

地元が静岡なのですが、屋久島は静岡と景色が似ているところが多いなと感じます。海が近くにあったり、かと思えば海岸線を走っているとすぐに山があったり。友人からは「移住するなんてすごいね」と言われますが、私からしたら近くに引っ越してきた感覚です。

住んでみて気づく屋久島の魅力とは?

屋久島_自転車

一番の魅力は、地域ごとの行事に参加ができることです。正月は鬼火焚き(※正月七日に大やぐらを焼いて、正月飾りについてきた鬼を追い払う伝統行事)があったり、十五夜では綱引きをしたり、行事に参加することで季節の移ろいを感じることができます。地元にいた時は地域の方と何かをするという経験がなかったので、そういう地域のつながりや昔ながらの伝統を感じられるのは、住んだからこそ分かる屋久島の魅力だと思います。お祭りや行事の日程は、島内の放送や町報で知ったり、大家さんから教えてもらったりしています。

他には、観光で訪れた際にも感じたのですが、人の温かさです。一人で観光をしていても島の皆さんが声をかけてくださるので全然寂しくないです。なので、ご家族や友人同士で観光に来られるのも良いですが、一人旅の方がより島の魅力を感じられるかもしれません。

移住者の方で多いのは、屋久島が好き、農業に興味がある、オーガニックにこだわっている方などさまざまです。単身で移住して屋久島で出産されたり、お子さんが生まれるタイミングで移住して屋久島で子育てをされている方もいらっしゃいます。

住む前とのギャップは?

住む前と比べて、すごくギャップがあるかと言われたらそうでもないです。強いて言えば、移住前は山や森の印象が強かったのですが、実際に住んでみると、山とか森には行かずに川や海で遊んでいる方が多いことくらいです。私は元々泳げませんでしたが、屋久島に来てから泳げるようになりました。

他には、想像していたよりも生活が不便ではなかったことです。ATMが島に少ないので旅行で来たときはそれが不便だと感じることもありましたが、住んでいると必要なタイミングで前もってお金をおろしておけば良いので不便に感じることはないです。

食料に関しても、物価が特に高いわけでもないですし、大きなドラッグストアで大体何でも揃うので困ることはないです。肉は冷凍されたものを買ったり、野菜は近所の方が食べられる状態にして持ってきてくださったり、魚はたくさん獲れますし、食料調達で困ることはないです。

驚いたのは、雨がそれほど降らないことです。「屋久島はひと月のうち35日は雨」という表現もあるようですが、実際には1日の中のどこかしらで一時的に降るという解釈が正しいです。梅雨の時期と木の芽流し(※早春、樹木の芽ぶくころに降る長雨)の期間を除けば普通に洗濯物を外で干すことができます。ただ、降るときはスコールのように一気にまとまった雨が降ります。すぐに止んで、そこに虹がかかってきれいなので現地の人は傘も持たないくらいです。山はもっと降るかもしれませんが、人が生活するところはそんなに雨は多くないです。ただ、海や川に行く前には雨雲レーダーやアプリで雲行きを確認してから行くようにしています。

移住して良かったと感じる瞬間は?

屋久島_星空

一番は、きれいな星空を見られることです。地元に住んでいるときは冬の星空がきれいだと思っていたのですが、屋久島は天の川の迫力がすごいので、夏の方がきれいです。また、冬はクジラが南下する様子を車道から見ることができます。

他には仕事の休憩中に、川でお弁当を食べられること!仕事終わりに海に行くこともできますし。自然と近いところで生活しているからこそ体験できることだと思います。都会だとなかなかできないですよね。

穴場スポット&おすすめアクティビティ

屋久島_渓谷

私のおすすめは川です。すごく水がきれいなので、沢登りやカヤックをぜひ体験してみてほしいです。中でも永田川上流の「横河渓谷(よっこけいこく)」が特におすすめです。同じ水のアクティビティだとダイビングもおすすめですよ。よく潜られる方は、「沖縄の海もきれいだけど、屋久島の海は特別」と言われます。水深が違ったり、魚の種類が違ったりするみたいです。
それと「一湊(いっそう)海水浴場」でのシュノーケル。ウミガメと遭遇できたり、ソフトコーラルという柔らかいサンゴ礁が海底に広がっている様子を見たりすることができます。

屋久島_太忠岳

撮影者:お散歩ツアー

森・山だと、「太忠岳(たちゅうだけ)」がおすすめです。遊歩道(ヤクスギランド)→屋久杉の原生林→山頂からの絶景→大きな石を辿るルートなので見どころ満載です。あまり大きな山だと歩くのに必死で周りの景色を楽しむ余裕もなく帰って来られる方もいるので、往復7時間くらいで行けるような山に行った方が杉も近くで見えるのでおすすめです。

屋久島_健康の森公園

観光スポットではないのですが、「健康の森公園」という地元のお母さんたちが子どもを連れていくような公園があって、そこではヤシの木がハートの形に見える写真を撮ることができます。ここなら険しい山道を進まなくても行けますし、良いフォトスポットになると思いますよ。

観光のベストシーズンは?

観光の目的にもよりますが、山や森でトレッキングをするなら秋、海や川で楽しみたいなら夏、ただ個人的にはいろいろなお花が見られる冬がおすすめです。冬なのにひまわりやコスモス、ポインセチアが並んで咲いていて、四季がごちゃ混ぜになっているのが何とも不思議なんです。屋久島は北海道から沖縄までの気候がギュッと凝縮されているとも言われていて、里の観光をされるなら冬がおすすめです。ゴールデンウィークやお盆の時期が観光に来られる方が多いのですが、いつ行っても違った楽しみ方ができると思います。ちなみに、ウミガメの産卵を見たいという方は5月中旬~7月頃、ふ化は7月~9月、ウミガメそのものを見たいのであれば年中見ることができます。

ご当地グルメ&お土産

屋久島_とびうお

トビウオやクビオレサバの刺身は、お店に入荷があるときは必ず食べてほしいです。マンゴーなどの南国のフルーツもたくさんあるので、無人市を巡りながら旬のフルーツを食べ歩くという楽しみ方もあります。
かからん団子という、蓬がたっぷり入った餅で餡をくるんだ団子は屋久島の郷土料理なので、いらした際にはぜひ食べてほしいです。老舗の和洋菓子店や地場産品を売っているところで買うことができます。屋久島に住んでいると、たまに近所のおばあちゃんから自家製のものをもらえることもありますよ。

お土産としては、サバ節というサバを燻したものがおすすめです。マヨネーズや七味をかけてそのまま食べてもおいしいですし、出汁がよく出るのでパスタなどの洋食にも、おでんやお味噌汁などの和食にも何でも合います。料理がそんなに上手ではなくてもおいしく調理できる万能調味料です。まとめてお取り寄せする方もいらっしゃいます。
他には果物のたんかん。みかんよりも甘みが強くてすごくおいしいです。そのままでも食べられますし、たんかん100%のジュースもお土産として人気です。

九州といえば焼酎が有名ですが、屋久島の焼酎も有名ですね。「三岳酒造」と「本坊酒造」というところで作っているのですが、屋久島の水で割るとおいしいというのをよく聞きます。焼酎を買って、割る用に屋久島の水をペットボトルに詰めて持って帰る方もいます。屋久島の水は口当たりが違うみたいで、コーヒーの味も変わるようですよ。数年前から地ビールも作り始めているので、それもご当地ならではです。

観光の際に持ってきた方が良いものは?

まずは、防水用のスマートフォン入れですね。海や川でアクティビティを楽しむ際に落としてしまったら大変なので。それと、傘より両手が空くカッパの方がおすすめです。また、登山の用意をしっかりされて来る方は多いですが、冬も海や川にすぐに入れるようにサンダルも持ってきておいた方が便利ですよ。

ちなみに、携帯電話の電波が弱いので、紙の地図があった方が安心です。また、クレジットカードを使えるお店が少ないので、現金はある程度準備して持っている方が良いと思います。

夏に来られる方は川の近くや湿度が高いところ、ガジュマル公園などは蚊が多いのでハッカ油や虫よけスプレーを持って行った方が良いですね。ちなみに余談ですが、都会に比べて虫が全体的に大きいので、虫が苦手という方は心構えが必要かもしれません。

最後に

縄文杉や苔むす森のイメージが強かったパワースポット「屋久島」。澄んだ水の川や海、ウミガメ、星空、四季をまたぐ花…。島の人の温かさやおもてなしに触れると、パワー以上のものを得られるかもしれませんね。
今回は、住んでいるからこそ分かる屋久島の魅力を、あずささんにたくさん教えていただきました。あずささんが撮る屋久島での日常は、ご本人のインスタグラムから見ることができるので、そちらもぜひチェックしてみてください!

※ お出かけの際は、新型コロナウイルス感染症に関する県や市町村が発表する情報に留意の上、「新しい旅のエチケット」を参考に基本的な感染対策を徹底してください。

あずささん

あずささん

2017年に20代で屋久島に単身移住。同世代に屋久島の魅力をSNSで発信している。2021年にクラウドファンディングに挑戦し、お土産店「シェリーココ」を開店するなど、地域住民からも愛される存在。

Instagram(@azuchaaaann) シェリーココ 公式HP

 

RELATED