SNS

I live with the island and stay with the island

SEARCH詳細検索

SEARCH

CLOSE

熊本

【天草の﨑津集落と﨑津教会】道の駅﨑津から行く世界遺産の集落ツアー

2022.12.14

【天草の﨑津集落と﨑津教会】道の駅﨑津から行く世界遺産の集落ツアー

世界文化遺産に登録されている『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産の1つとされる熊本県天草市の「天草の﨑津集落」。天草下島の﨑津集落のシンボルで“海の天主堂”と称される﨑津教会が有名です。その周辺も「天草市﨑津・今富の文化的景観」として国の重要文化的景観に指定され、漁村である﨑津集落ならではの発達と歴史を今も見ることができます。今回は「道の駅 﨑津」からガイドツアーに参加して訪れた「天草の﨑津集落」について、﨑津教会だけでなく穴場スポットの見どころや行き方もご紹介します。

#熊本 離島 #天草 観光 #崎津集落 #崎津教会 #﨑津天主堂 #隠れキリシタン
撮影:りとふる編集部



天草下島について

天草下島_茂串海水浴場_220621

画像提供:PIXTA

熊本県熊本市の南西に浮かぶ大小120もの島々からなる「天草(あまくさ)諸島」は、海に囲まれた自然豊かな地域で、野生のイルカを見ることができるイルカウォッチングなどの観光スポットや、キリシタン弾圧や島原・天草の乱など歴史的にも有名です。2018年に世界文化遺産に登録された『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産の1つとされる「天草の﨑津集落」は、天草諸島の中でも1番大きな面積を誇る「天草下島(しもしま)」の南側に位置します。

世界文化遺産「天草の﨑津集落」

天草下島_カケから見る﨑津集落_221215

「天草の﨑津集落」にはシンボル的存在の﨑津教会や山に囲まれた漁村風景などの美しい景観、歴史的背景を学べる施設などがあります。また、﨑津の隣に位置する今富集落は緑豊かな農村風景が美しく、潜伏キリシタンなど“かくれ”信仰の一端を担った歴史が残されています。これら﨑津と今富の風景は「天草市﨑津・今富の文化的景観」として国の重要文化的景観にも選定されています。今も住民の方が暮らす生活の場なので、訪れる際はマナーを考えながらお邪魔させていただきましょう。

﨑津集落のガイドツアー

今回は「道の駅 﨑津」から天草宝島案内人の会にガイドをしていただき、天草の﨑津集落を歩いて巡りました。穴場スポットから「﨑津教会」まで貴重な見どころがあるので、せっかく訪れるのであれば、景色を眺めるだけではなくガイドさんの説明も聞いてみるととても興味深くおもしろいですよ。とても和やかな雰囲気でガイドをしてもらえるので、ぜひガイドツアーに参加してみてくださいね。

﨑津集落について学ぶスタート地点

天草下島_道の駅 﨑津・﨑津集落ガイダンスセンター_221215

まず、スタート地点となる「道の駅 﨑津」内には「﨑津集落ガイダンスセンター」が併設され、観光案内やキリシタン史に関する展示やパンフレットの設置があります。また、集落に入るとトイレや駐車場がないので、観光で訪れる方はこちらで準備をしてから出発をしましょう。レンタサイクルを利用する場合は、台数に限りがあるので事前予約がおすすめです。
詳細についてはこちら

道の駅 﨑津・﨑津集落ガイダンスセンター

熊本県天草市河浦町﨑津1117-10

0969-78-6000

9:00~17:30

休館日:12月30日~1月1日

公式ホームページ

 

﨑津集落と漁村ならではの伝統的風景

天草下島_﨑津集落と﨑津教会_221215

﨑津は集落そのものが世界遺産の構成資産となっていて、少し離れた場所から見る﨑津教会が海辺に佇む様子はとてもきれいです。ただし、ツアーの際も話声や道の歩き方、写真の撮り方などにかなり気を遣われていました。地元の方の迷惑にならないようにマナーを守って見学しましょう。

天草下島_旧網元宅よらんかな_221215

住宅街の中に並んでいるこちらの住宅は、旧漁師網元宅を復元整備した施設「旧網元宅 よらんかな」。玄関から中に入ると、休憩スペースや昔の生活の様子を垣間見られるような展示がされています。なんと、こちらは明治時代に4軒あった漁師網元宅のうち、唯一現存している家屋だそうです。

こちらでぜひ見たいのが、奥から外に出た場所にある木造テラスのような空間。海側に張り出したカケと呼ばれる場所で、船着場や漁師の作業場として使われるそうです。今富の山から取った材料で造られ、今でも集落内に約20ヵ所ほど残っているそうで、江戸時代頃から変わらない﨑津の狭い土地を活かした漁村ならではの風景です。「旧網元宅 よらんかな」のカケにはベンチが設けられているので、海を眺めながら休憩することもできますよ。

また、カケから外に出る際は、室内を通らず民家と民家の間にある、人1人が通れる程度のトウヤと呼ばれる細い道を通ります。こちらも海に出やすい造りを考えられた漁村ならではの工夫で、地元の方の交流の場にもなっているそうです。カケとトウヤは﨑津集落ならではの貴重な風景の1つなので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

旧網元宅 よらんかな

熊本県天草市河浦町﨑津618

9:00~17:00

入場料:無料

駐車場なし。近隣の観光駐車場を利用してください。

長崎県ホームページ

 

﨑津集落のシンボル「﨑津教会」

「旧網元宅 よらんかな」を出て集落を歩きながら“海の天主堂”と称される「﨑津教会」へ向かいます。途中でお店の方に声を掛けられたり、ガイドさんが地元の方とお話をしたりとのどかな雰囲気を感じられたのもうれしい時間でした。

天草下島_﨑津教会_220801

歩いているとあっという間に「﨑津教会」に到着です。教会の敷地内に入る場合は個人での見学でも事前予約が必要なので、旅程が決まった方は忘れずに予約をしましょう。また、教会は観光スポットではなく祈りの場所です。写真撮影を含む様々なルールが定められているので、訪れる前に見学マナーについて確認をしておきましょう。
﨑津教会の見学予約やマナーについてはこちら

天草下島_﨑津教会_221215

1934年(昭和9年)に建てられた「﨑津教会」はゴシック様式の教会です。海のすぐそばに建つ美しい見た目とは裏腹に、キリシタン弾圧の厳しい時代を経てこの地に建てられました。教会の内部は写真撮影厳禁ですが、想像していた印象と実際に教会の中に入って見学した印象は異なりました。国内に数ある教会の中でもめずらしい畳敷きの教会なので、ぜひ実際に訪れてみてください。ミサや冠婚葬祭などが行われている場合には、時間を改めて訪れましょう。

﨑津教会

熊本県天草市河浦町﨑津539

※見学には個人・団体に関わらず事前予約が必要です。

天草宝島観光協会ホームページ

 

﨑津教会とセットで訪れたい!「みなと屋」

﨑津教会を見学した後は、ジオラマや展示などを見ながら「天草の﨑津集落」や潜伏キリシタンについてなどの歴史や文化を学べる「﨑津資料館みなと屋」を訪れました。貝殻の内側の模様を聖母マリアに見立てた信仰の道具など、身近なものを信仰の対象としたこちらでしか見ることができない漁村の潜伏キリシタンならではの貴重な品が展示されています。禁教とされた時代、キリスト教を信仰していることが誰にも見つからないように生活をしていたため、その信仰の道具自体を隠していたこともあり、全容がはっきりと見えにくいのも特徴の1つだと言われているそうです。しかし、この歴史を語り続けようと様々な取り組みがされています。﨑津教会から徒歩30秒ほどの距離にあるので、ぜひ訪れてみてください。

﨑津資料館みなと屋

熊本県天草市河浦町﨑津463

0969-75-9911

9:00~1700 ※最終入館16:30まで

休館日:12月30日・31日・1月1日

入場料:大人100円、高校生以下無料

駐車場なし。近隣の観光駐車場を利用してください。

天草宝島観光協会ホームページ

 

潜伏キリシタンと神社仏閣の繋がり

天草下島_﨑津諏訪神社_221215

「天草の﨑津集落」といえばキリスト教や教会のイメージが強いですが、教会から歩いてすぐの場所に「﨑津諏訪神社(さきつすわじんじゃ)」が建っています。かつて禁教の時代には潜伏キリシタンがこの神社の氏子となって、密かに“オラショ”と言われる祈りを唱えていたそうです。

天草下島_﨑津諏訪神社鳥居_221215

大勢の潜伏キリシタンが摘発された“天草崩れ”では、潜伏キリシタンたちが持っていた信心具を差し出すように取り調べの場所に指定され、潜伏キリシタンの歴史を知る上でも重要な場所です。ちなみに、「﨑津諏訪神社」は1647年に創建され、300年以上前に造られた鳥居が現存しています。

天草下島_﨑津集落_221215

また、神社の参道が教会前の道と繋がり、この境内からも﨑津教会見えるほど近くに建てられたことや、近所に寺院もあることなどから、神社・教会・仏閣が地域で共生していたことがよく分かる場所だと言われています。

﨑津諏訪神社

熊本県天草市河浦町﨑津505

熊本県公式観光サイト

 

集落の観光を終えたら、道の駅 﨑津・﨑津集落ガイダンスセンターに戻ってツアーは終了です。歴史的背景や地元のお話など、ツアーだからこそ聞けるお話がたくさんあり、とても濃い時間を過ごすことができました。すぐ近くに海があり、海を眺められるベンチなどもあるので、ゆっくりと眺めるのもおすすめです。



﨑津集落への行き方

今回、ご紹介した教会や神社、資料館などには個別の駐車場は設けられていません。駐車台数に限りがありますが、周辺の観光駐車場を利用することができます。また、「道の駅 﨑津」には広い駐車場があるので、そちらに停めて集落を散策するのもおすすめです。

【車で道の駅﨑津へ行く場合】
九州自動車道松橋ICから国道266・324号経由、天草方面へ…松橋ICから道の駅﨑津まで約2時間10分。
天草空港から国道266・389号経由…天草空港から道の駅﨑津まで約1時間。

最後に

世界文化遺産の構成資産として注目されている天草下島の「天草の﨑津集落」についてご紹介しました。江戸幕府の厳しい禁教の下でも信仰を守り抜き、神社やお寺などと共生しながら信仰を続けるために独自の信仰の方法を編み出して代々受け継がれてきた貴重な集落です。紡ぎ続けられてきた文化や歴史を知ると、港町の美しい風景がより一層深みを増すような感覚でした。長い期間を掛けて守り大切にされてきた暮らしの場にぜひ訪れて、実際に感じてみてくださいね。

また、﨑津集落は今も住民の方が過ごしている生活の場です。教会は祈りの場で、教会ごとにマナーやルールが異なる場合もあります。必ず事前にルールなどを確認して、生活の場・祈りの場にお邪魔させていただく意識を持って訪れましょう。

RELATED