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島根

【大人の島留学】隠岐諸島で移住体験!人口620人の知夫里島での暮らしとは?

2022.09.07

【大人の島留学】隠岐諸島で移住体験!人口620人の知夫里島での暮らしとは?

近年では暮らし方や働き方の多様化により、都市部だけではなく地方への移住なども増加しています。その中でも多くの人が憧れるであろう「離島移住」。移住と言っても人によって形態は様々で、地域おこし協力隊のように島での職の担い手や新たな事業を行ったり、現在の仕事を変えずにリモートワークや、2拠点での生活で離島を選ぶような生活環境を離島に移す人。さらには、自身のやりたいことやお金を貯めるのが目的で住み込みでのアルバイトや契約社員として期間限定で離島で暮らすスタイルなどもあります。

私は、その中でもどれにも当てはまらない、1年間離島で仕事をしながらの移住体験を島根県の隠岐諸島、知夫里島(ちぶりじま)で「大人の島留学」というプログラムに参加し、今年の4月から島での暮らしを始めています。本土に住む小学生〜高校生が離島の学校へ行き、島で生活をしながら教育を受ける「離島留学」は全国各地で募集されていますが、20代を対象にしたこのプログラムは全国でも稀です。今回はそんな知夫里島でのプログラムに参加した経緯や暮らしの様子、島の魅力などをお伝えしたいと思います。

#島根県 離島 #隠岐 移住 #知夫里島 移住
文章・画像提供:eisland89mtさん



「大人の島留学」とは?

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

一般財団法人 島前ふるさと魅力化財団が隠岐島前3町村と連携して運営するプログラム「大人の島留学」は、全国の学生や社会人の20代を対象にした1年間の就労型お試し移住制度です。昨年度までは海士町のみで実施されていましたが、今年度より西ノ島町・知夫村を含む3町村に拡大しました。隠岐諸島・島前地域では、人手や担い手不足が課題となっています。しかし、その一方でIターンなどの移住者が新しい事業を始めやすい環境など、今後の島づくり・まちづくりの最先端を目の当たりにできる地域となっています。「大人の島留学」は島暮らしや仕事への参加者ではなく、当事者意識を持った参画者としてチャレンジをし、島づくりを共創していくプログラムです。また、1年間の⻑期ではなく3ヶ月のインターンシップ「島体験」というプログラムもあります。

参加した経緯

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

これまでに日本の80島以上の離島を旅してきましたが、暮らすとなると2、3ヶ月の短期で住み込みのアルバイトやゲストハウスのヘルパーがメインでした。そして、そのいずれも5月〜10月くらいの言わば島のシーズンとなる期間。島の冬や閑散期などを経験したことがないので、1年を通して島で暮らすことができるのはとても興味が沸きました!と言いつつも知ったきっかけは、3月に訪れたとある離島で出会った人。その人が「4月から1年間海士町で活動します!」の一言を言ったのがきっかけで「1年間・島暮らし」のキーワードが心に刺さりました。4月以降の拠点や何をするか未定の中、今の情勢が落ち着いたら海外にも飛び出したい。そうなると、数年間どこかに身を置くよりも1年単位で何かにチャレンジしたい。そう考えていた中での「大人の島留学」との出会いだったので、迷うこともなく応募しました。

今年度の島留学生は、3島合わせて30名程度。私のようなきっかけでプログラムに参加した人はあまりいませんが、大学を休学して自身の経験やスキルを付けるため、一度社会人になって次のキャリアへ進む前に1年間都会から離れて田舎で暮らしたい、生まれも育ちも都会で1年間今までと違う環境で住みたい、などなど参加した経緯は人それぞれです。

島留学の舞台「隠岐諸島・島前地域」

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

島根県本土から約50km、フェリーで約2時間半ほどに位置する隠岐諸島の島前(どうぜん)地域は、中ノ島(海士町)・西ノ島(西ノ島町)・知夫里島(知夫村)の3島で構成され、3島合わせておよそ5,700人が暮らしています。「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」として世界的にもめずらしい地形、独特の生態系、そして後醍醐天皇や後鳥羽上皇の御配流や北前船の風待ちの拠点として栄えた独自の文化・人の営みが評価されている島々です。

信号もコンビニもない島根県唯一の村

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

4月から島暮らしをしている知夫里島(ちぶりじま)の知夫村は、人口約620人の隠岐諸島でも1番小さな島です。離島あるあるの1つでもある学校の目の前に設置される信号もなく、当たり前ですがコンビニもチェーン店もありません。人よりも動物が多く生息し、野生のタヌキは2000匹以上、畜産の牛は人と同じくらいの頭数が飼われていると言われています。ちなみに、離島に行くとよく目にする猫ですが、知夫里島にはいないのでは?と思うくらいほとんど目撃することはありません。しかしながら令和元年(2019年)には人口増加率が全国1位になったり、小中学校では本州など島外の子どもたちを受け入れる離島留学制度もあります。今年度になってからも新しい飲食店が3軒もオープンするなど、人口減少・少子高齢化が進む中でも様々な動きがある島根県唯一の村です。

「大人の島留学」としての島暮らし

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

島留学生は基本的に学校や役場などの公共機関、漁業などの第1次産業、観光や宿泊施設・飲食店などのサービス業の各事業所で働いています。現在、私は観光協会で勤務をしていて、日々来島者への観光案内やレンタル自転車の貸し出し、売店業務を行っています。また、広報担当としてSNSでの情報発信をしたり、観光サイトへの記事執筆などもしています。

働く人数が少ないので、様々な業務を同時にこなしたりする大変さもありますが、何か新しいことをする時に思った以上に早くOKが出るのも島ならではなのかもしれません。本土の人向けに島を紹介するフライヤーを作った時に、島の飲食店の人から「こういうのお店にも置きたいから、ちょっと作ってみない?」と声をかけてもらったり、もともとデザイン系は苦手(避けていた)でしたが今では作る側へ。以前までは来島者としてほぼ受け入れてもらう側だった私でしたが、今では受け入れる側になったので、なかなか島から外への情報が届きにくい課題を解決すべく、今日も働いています。

島らしい休日や遊びを楽しむ

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

休日はとにかく外へ出て、島の自然をおもいっきり体感!基本的には自転車でどこかに行ったり、海で潜ったりと目の前の自然を満喫しています。当たり前のように素晴らしい景色が家からすぐ行けてしまうのは、島に住む良さです。隣の島々へも船で20分ほどで行けるので、休日に過ごす場所の選択肢は思った以上にあります。そして、たまに島の人の畑作業をお手伝いしたり、ちょっとした修理のお手伝いをしたりなど。特に8月はとにかく好きなこと・島の夏を満喫したい!という思いで、隣の島のイベントに出店したり、ダイビングショップでお手伝いをしながらダイビングやシーカヤックも体験させてもらったり、短いながらもお腹いっぱいになるくらい島の夏を過ごすことができました。

意外と規則正しい?生活リズム

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

朝は虫や鳥の鳴き声、島内放送のチャイムが鳴るので、仕事の日も休日でも6時半頃には起床しています(むしろ勝手に目覚めています)。職場への出勤は自転車か徒歩、平日は週に2、3回のペースで夜に島の人たちとスポーツをしたりと、健康的な生活を送っています。休日や仕事終わりに海に入った日には、夜はぐっすりと眠ることができ、次の日もすっきりと目覚められるのがなんとも言えない心地良さです。島の人と飲むことも多いので、休肝日を意識的に設けることを考えなければならないこと以外は、自分のペースで生活ができています。



住み始めて半年が経過、島暮らしの魅力とは

不便さもまた島の魅力

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

スーパーやコンビニがなかったり、お店が夜遅くまで開いていなかったり、今までの生活ではなかったことが、この島の日常です。最初は商品の種類も少ないし物価が高いなとも思っていましたが、魚や野菜をお裾分けしてもらったり、ある物で工夫して使ったり食べたりしようと考えるようになると、意外とすぐに馴染むことができました。物が届くのも本土と比べると若干遅いですが、逆に届いた時のうれしさはその分増します。しかし、この環境に慣れたからなのか、本土のデパ地下の生鮮食品の値段を見てもあまり高くないように感じてしまうのも、島に住んでいるからこそなのではと思います。

同期という、横の繋がりの大きさ

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

今回は「大人の島留学」という形で島暮らしをしていますが、同期は約30人。通常なら1人で島に移住するのが一般的ですが、同じ時期に来た若者がたくさんいるということは、とても恵まれている環境です。住居は3人でシェアハウスで暮らしていますが、お互いの得意なことが活かされたり、隣の島に遊びに行くきっかけができたりなど。横との繋がりが大きい分、島の人との繋がりを作るためには自らが動く必要がありますが、島留学生・島民を問わずに繋がりを作ることができるのが、今回の島暮らしの充実さの1つです。

「島暮らし」を移住先の1つにするのもアリ

隠岐諸島・知夫里島_大人の島留学_W03

今住んでいる場所から海を越えて移り住む離島移住。当然不安やハードルの高さは付き物ですが、まずは一度情報収集や体験移住などをしてから検討するのも大切です。今回の「大人の島留学」は1年間限定ですが、同期の多さやサポートなどを考えるとハードルも少し下がります。全国には400以上の有人離島があるので、自分が住みたい地域や環境、やりたいことを軸にマッチしそうな島を選んでみてはいかがでしょうか。やりたいことは曖昧だけど、とにかく離島に住みたい!という思いだけで飛び込んでみるのもアリかなと思います。

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