香川
直島旅館 ろ霞「FEATURED ARTIST」第二弾として全11客室に作品を展示開始
今年4月にオープンした直島初の本格旅館「直島旅館 ろ霞(か)」は、若手アーティストが描き下ろした作品を客室に展示・販売する「FEATURED アーティスト」プログラムの第二弾として、客室内に展示するアート作品を全て刷新しました。
新たに展示されるのは、注目の若手アーティスト山田康平による「COLOR FIELD / LINES」と題したアブストラクト絵画。本プロジェクトのために新たに制作した、計11点の未発表作品となります。
「ろ霞」では、館内に展示されるアート作品の定期的な刷新により、訪れるたびに趣向の違う宿泊体験を提案していきます。
当館では、アートプロデューサーで京都造形芸術大学教授の後藤繁雄のキュレーションによる「ROKA ART PROJECT」を推進しています。館内には、国際的に活躍する名和晃平の彫刻と写真、若手ペインターの中で注目を集める品川亮、山本捷平、山田康平、そしてアムステルダムのfoam現代写真美術館で個展も開催し高い評価を得る横田大輔らのコレクションが常設されています。加えて宿泊棟の各客室では「FEATURED ARTIST」の作品が展示され、これらは鑑賞だけでなく購入も可能。全11室に展示されるアート作品は半年に一回を目処に刷新を行い、2022年度前期は品川亮が日本の古典文学・新古今和歌集から発想を得た新作が展示され、それらの作品は全て完売しました。
FEATURED ARTIST 第二弾の展示作品について
山田康平は「刷毛でグラデーションをつくる」「刷毛で重ね合わせて面をつくる」「線で輪郭をつくる」という絵画表象の3つの作業を組み合わせることにしぼり、しぼることでかえって「絵画」の可能性を再生させようとしています。そのような成果としての「絵画の力」が、その作品の置かれた時空をどのように変形させるか、野心的な挑戦をしていると言えます。
今回当館の全11室に新たに展示されたのはUntitled#1〜#11で、山田氏が本プロジェクトのために新たに制作したもの。色面と線の絶妙なレイヤーにより絵画表現の可能性を切り拓くシリーズとなっています。山田氏の作品展示は2023年4月1日までの予定で、期間中はご宿泊者向け限定で抽選販売を行っています。
山田康平プロフィール
1997年、大阪生まれ。2020年武蔵野美術大学油絵学科卒業。同年、京都芸術大学修士課程入学。主な受賞歴に「CAF賞2020」入選、「FACE2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展」入選など。主な個展に「線の入り方」(Mtk comtemporary art(.S店舗内)/京都岡崎蔦屋書店ギャラリースペース、2022)、「road(代官山ヒルサイドテラス アネックスA、2021)、「のぼり、おりる」(ギャラチー美の舎、2020)などがある。
山田康平よりコメント
今回、作家の品川亮さんに続いて「FEATURED ARTIST」第二弾として「ろ霞」客室での展示をさせていただくこととなりました。普段のホワイトキューブでの展示とは違い、客室ごとに作品を一点ずつと、お部屋の空間と合わせて自由にアートに接していただけたらと思います。
また、一部屋ごとにタイプが違う作品を置いて、普段の展示では出せないようなバリエーションのある作品構成にしてみました。いつもは東京や京都などの大都市で展覧会を開催することが多いので、ここ直島の新しく未来ある旅館「ろ霞」の客室に置けることは、今後の作品作りにも活かしていけるのではないかと考えています。
直島旅館 ろ霞が、2つのデザインアワードを受賞
直島旅館 ろ霞は、この度2つのデザインアワードを受賞しました。公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2022年度グッドデザイン賞」において、グッドデザイン賞 建築部門を、香港デザインセンターが設立した「DFA Design for Asia Awards(アジアデザインアワード)2022」では、SPATIAL DESIGN分野・Hospitality & Leisure Spaces部門で、ブロンズ賞を受賞しました。
直島旅館ろ霞 代表 佐々木慎太郎よりコメント
この度は、「2022年度グッドデザイン賞」および、「アジアデザインアワード2022」を受賞できましたことを大変嬉しく思います。当館は、「自然と人間が美しく調和する里山のような風景を、この地につくりたい」という想いを出発点として始まりました。
建築は「里山の風景」のコンセプトのもと、日本古来の美意識である「質素美」と「内と外の曖昧さ」を基本デザインに置き、地域と隔絶した豪奢な建物を作るのではなく、敷地奥に昔から広がる山林を借景とした平家とすることでその土地に馴染み、自然と調和した宿としました。素材選びや建設工程など細部にまでこだわり、グローバルに求められる旅館の快適さと、亭主の「数奇」をバランスよく取り入れた建築となっています。
世界中から訪れる人々が現代アートと共に直島の自然や日本のおもてなし文化、瀬戸内ならではお食事を体験でき、そして旅人同士の交流が自然と生まれるよう本格な旅館を目指しています。また今後も若手作家と繋がりを持ちつつ、アートインレジデンスやギャラリーの設置など常に新しいことにも挑戦していきたいと思っています。
直島旅館 ろ霞について 公式HP
「里山の風景に触れ、現代アートを堪能する旅館」として2020年4月にオープンした直島初の本格旅館。全11室の客室は、現代的な和の設えを表現した全室スイート仕様で、木、土、石など瀬戸内海周辺の自然素材を使用しています。館内には、国際的に活躍する名和晃平の彫刻と写真のほか、若手現代アーティストの中で注目を集める品川亮、山本捷平、山田康平、横田大輔らの作品が常設され、日本の現代アーティストの発信源としての役割も担っています。
囲炉裏の火を意味する「炉火」。朝霧や靄(もや)を連想させる「霞」。
この2つの言葉を紡いだ時、当館の「ろ霞」という名前が生まれました。