広島
瀬戸内海の離島「大崎上島」は未来が詰まった研究と教育の島
皆さんは「大崎上島(おおさきかみじま)」という離島をご存知でしょうか?瀬戸内海に浮かぶ広島県芸予諸島の1つで、本土と橋は繋がっていないのでフェリーで渡る離島です。実は大崎上島が今、教育の島として注目を集めています。なぜ、大崎上島が教育の島と言われるようになったのでしょうか?今回は、そんな大崎上島の取り組みを学ぶツアーに参加してきたので、その様子をご紹介します。
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取材:りとふる編集部
データから分かる大崎上島町とは?
大崎上島は数ある瀬戸内海に浮かぶ島の中でも8番目に大きな広島県に属する離島です。本州や四国から繋がる橋はなく、島へ渡る手段はフェリーのみ。広島県本土からは竹原と安芸津からの航路があり、その他に大三島や大崎下島との航路もあります。
島の人口は約7,000人ですが、15歳~19歳の人口が多いという離島では珍しい人口分布となっています。それは、島内に3つの高校があり、それぞれの高校が独自の教育方針や専門性を持っているため、島外から親元を離れて入学してくる生徒がいるからです。
- 広島県立大崎海星高等学校
- 広島県立広島叡智学園(中高一貫校)
- 広島商船高等専門学校
一方、明治時代・大正時代から島を支えてきた造船業ですが、工場の数が最盛期の29ヶ所から現在は3ヶ所までに減少しています。
現在では、みかんやレモンなどの柑橘類のブランド化や藻類の研究施設など、新たな取り組みが始まっています。
大崎上島から未来が変わる?最先端の藻類研究施設
2022年、大崎上島町で酸素吹石炭ガス化複合発電技術や二酸化炭素分離回収技術、燃料電池技術に関する大型実証試験などを手掛ける大崎クールジェン株式会社の敷地内に、一般社団法人日本微細藻類技術協会(IMAT)の研究施設が開所しました。
IMATでは微細藻類の研究が行われ、藻類から採れるオイルが美容分野で商品化されていたり、将来的には新たなエコエネルギーとしても注目を集めています。
施設内では、光と海水温の調整によって世界中の様々な気候条件で藻類の繁殖を研究することができ、その研究データは様々な企業に提供され、各分野で実用化が進んでいます。
大崎上島での研究が、地球の未来を変える日が来るのかもしれませんね。
大崎上島が「教育の島」と言われる理由
大崎上島には町立の小学校が3校、中学校が1校あります。それに対して、高等教育においては県立高等学校が2校(中高一貫校を含む)と国立高等専門学校が1校の計3校もあります。
また、それぞれの高校ごとに独自の教育方針や特色があり、島外からの留学生も多いのが特徴です。
中でも、県立大崎海星高校では、大崎上島学・公営塾・教育寮の3つの柱を軸に全国から生徒を募集しています。
大崎上島学では1年生で自分の価値観を学び、2年生になると観光や空き家など地域課題のテーマを与えられチームで解決策を考えます。3年生では学校や地域など身の回りを題材として課題を見つけて解決に向けたプロジェクトを行います。プロジェクトは十人十色で、今までには「散策マップ」や「島の仕事図鑑」の作成など様々な成果を残しています。
生徒たちの学びと交流の場所「ミカタカフェ」
県立大崎海星高校に隣接する古民家を改装し、生徒たちが自主学習をしたり交流ができる「ミカタカフェ」は、2021年にオープンしました。2階建ての古民家を生徒たちも手伝いながら、地元の小学生~高校生・高専生が自由に使える学習スペースも確保されています。学校や年齢を超えた地域の交流の場となっています。
カフェは生徒だけではなく地域住民や島への移住者、観光客なども利用することができます。その売上は生徒たちの居場所の運営費や維持費として活用されています。
最後に
いかがでしたか?瀬戸内海に浮かぶ、フェリーでしか行くことができない少し不便な大崎上島ですが、島内では地元の有志と移住者、生徒が手を取り合って地域おこしに取り組んでいます。
やがてこれらが実を結び、大崎上島から世界の未来を変えるような発見があるかもしれませんね。
りとふる編集部も大崎上島の取り組みを今後も応援しています。
大崎上島
広島県豊田郡大崎上島町