鹿児島
世界自然遺産登録!奄美大島観光の魅力をご紹介♪
2021年7月、徳之島や西表島と共に世界自然遺産に登録された「奄美大島」。鹿児島県と沖縄本島のほぼ中間の洋上に位置し、希少な固有種が生息する亜熱帯の森や日本で2番目の広さのマングローブ林を誇ります。日常を忘れさせる自然体験や、琉球と薩摩の文化が交差する島で育まれた独特の文化は、世界自然遺産登録を機にますます注目を集めています。今回は、そんな奄美大島の世界自然遺産としての魅力や歴史と伝統を体験できるおすすめスポットをご紹介します。
取材協力:一般社団法人 あまみ大島観光物産連盟、環境省 奄美野生生物保護センター
#鹿児島離島 #奄美群島 #世界遺産
Contents
奄美大島とは
奄美の気候について
奄美大島は、亜熱帯海洋性気候と呼ばれる気候で、年間を通して温暖で、冬場は曇りの日が多いのが特徴です。といっても夏はそこまで暑くならず、冬はそれほど寒くならず、比較的、過ごしやすいです。ただ、雨が多く、年間の降水量を見ると東京の倍くらい降ります。内地より梅雨入りと梅雨明けが1ヶ月ほど早いので、5月、6月は特に雨量が多いです。梅雨明けの7月~10月頃は晴れの日が多いのですが、台風が接近するシーズンでもあるので観光の際には注意が必要です。
観光のベストシーズンは?
目的によって変わりますが、海が好きな方は6月末~10月中旬頃までがおすすめです。台風が来ることもありますが比較的晴れることが多いです。森の散策を楽しむには、秋、冬、春がおすすめです。海を楽しむ方が多いのですが、海以外の楽しみ方も実はたくさんあります。奄美の良いところは海と山の距離がすごく近いところで、1回の旅行で海と山の両方を楽しめるところではないかと思います。冬は少し寒いかもしれませんが、ウェットスーツを着ればダイビングもシュノーケルも年中楽しむことができます。ベストシーズンではないかもしれませんが、冬の方がプランクトンは少ないので海水がきれいというメリットがあります。また、冬にはホエールウオッチングをすることもできます。
鹿児島県で2つ目の世界自然遺産
奄美大島が世界遺産になった背景
2021年7月26日に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が日本では5つ目、鹿児島県内では2つ目の世界自然遺産に登録されました。かつてから奄美群島を含む琉球諸島は希少な生物や固有種が数多く生息しているということで、世界遺産の候補地に選定されていました。ただ、その頃奄美大島ではマングースがアマミノクロウサギなどの希少な動物を捕食するという事態に陥っていました。もともとはハブを駆除するために放たれたマングースでしたが、実際にはハブではなく、アマミノクロウサギなどの希少動物を捕食していたのです。
2005年以降からは、奄美大島におけるマングースの防除事業が本格化され、島からの根絶も視野に入ってきています。これらの固有種を守る地道な活動や奄美群島国立公園の指定など、自然環境を守る取り組みや保護措置が取られているということが評価され、この度の世界自然遺産の登録が決定されました。
奄美大島の固有種について
奄美大島の固有種で代表的な生物といえば「アマミノクロウサギ」ですが、他にもめずらしい野生生物がたくさん生息しています。例えば、瑠璃色がとてもきれいな「ルリカケス」や奄美大島だけに棲む「オオトラツグミ」などの野鳥、鳴き声が特徴的な「アマミハナサキガエル」は、奄美大島と徳之島でしか出会うことができない希少な生物です。
特に人気のあるアマミノクロウサギは、交通量の多い国道や県道での交通事故による被害が毎年のように出ています。令和3年10月29日より、市道三太郎線周辺では夜間利用のルールが制定されました。世界自然遺産に登録されたことで、野生動物の交通事故が増加したり、島民の生活の場が荒らされたりしないよう、私たちは利用ルールを守って観光を楽しまなければなりませんね。
世界遺産だけじゃない!奄美大島の魅力
おさえておきたい!人気スポット
奄美大島のアクティビティでやはり人気があるのは「マングローブ」でのカヌー体験。シーカヤックと違って波の影響が少なく誰でも漕ぎやすいので、お子さまからシニアまで幅広い年代の方に楽しんでいただけます。満潮の時間に行くとマングローブのトンネルをカヌーで通る体験ができ、潮が引いている時はカニなどの甲殻類を観察することができます。
マングローブと同じくらい人気なのが、世界自然遺産にも登録された亜熱帯の森「金作原(きんさくばる)」や、奄美群島最高峰の「湯湾岳(ゆわんだけ)」でのトレッキング。島の緑は常緑なので紅葉はしませんが、季節ごとに違った花が見られ、運が良ければめずらしい生き物と遭遇できます。他にも、奄美十景の一つにもなっている「あやまる岬」や、ブルーエンジェルと称えられるほど美しい「土盛(ともり)海岸」も人気が高いスポットです。
近年、若い方を中心に人気なのは、龍郷町(たつごうちょう)にある「ハートロック」です。干潮時のみ海岸に現れるハート型の潮だまりで、写真映えスポットや、恋愛のパワースポットとして人気を集めています。他にも、海岸に玉石が広がる「ホノホシ海岸」や、大河ドラマ「西郷どん」で取り上げられたリュウキュウチクが群生する「宮古崎(みやこざき)」も注目を集めています。
体験必須のアクティビティ
マリンアクティビティで人気なのは、奄美市笠利町(かさりちょう)や大和村の「国直(くになお)海岸」でのSUPと、ウミガメに会えるシュノーケリングです。近ごろでは、マングローブでもSUPができるようになりました。ダイビング以外にもシュノーケリングやSUPで、より気軽にマリンアクティビティを楽しむ方が増えてきています。
「宮古崎」ではサイクリングやガイドさんと歩くツアーがあり、「国直集落」では集落の人と触れ合いながら、生活に密着した自然体験をすることができます。
国の特別天然記念物にも指定されている「アマミノクロウサギ」を見たいという方は、ナイトツアーに参加してみてはいかがでしょうか。基本的には車内からの観察ですが、降りられそうなら車から降りることもあります。鳥が寝ている姿やめずらしい生物を見ることもできます。クロウサギは年中見ることができますが、雨が少ない時期の方が遭遇率は高いです。
島唄とシマジューリ(島料理)を味わう
名瀬地区の「屋仁川(やにがわ)通り」に行くと、飲食店がたくさんあるのでグルメを楽しみたい方は名瀬滞在がおすすめです。
奄美大島の郷土料理(シマジューリ)として一番有名なのは、やはり「鶏飯(けいはん)」。鶏肉、卵、しいたけをのせたご飯に鶏のスープをかけて食べる料理です。島唄を聞きながら郷土料理を味わえるお店もいくつかあり、中でも「かずみ」と「吟亭」が代表的です。昔は日常の中に島唄があり、男女の掛け合いで唄うというのが生活の一部でしたが、今はお祭りのときや、地域住民の集まりなどで唄われていて、子どもたちが習い、次の世代へと受け継がれています。今でも時々、海辺で三味線を弾きながら唄っている姿を見ることもあります。奄美の人は豚肉をよく食べるので、豚と野菜の煮物もぜひ味わってみては。
他には、沖縄のそうめんちゃんぷるに少し似ている「油そうめん」や、大島海峡に面した瀬戸内町で養殖が盛んな「クロマグロ」が絶品です。瀬戸内町の中心地「古仁屋(こにや)」では、脂の乗ったクロマグロ丼やクロマグロ入り海鮮丼を味わえるお店がいくつかあります。
島の特産品&お土産
お土産でも人気があり、奄美群島でしか作られていない「黒糖焼酎」。奄美大島の居酒屋や郷土料理店には、たくさんの黒糖焼酎が揃っています。蒸留の仕方や寝かせ方で銘柄が変わるので、一つの酒造でもお酒の種類がたくさんあります。「酒屋まえかわ」ではほぼすべての焼酎が揃っていて、店主の方がそれぞれの特徴を詳しく教えてくださるので、好みに合う焼酎を見つけられると思います。新型コロナウイルスの影響で現在は行っていないところもありますが、焼酎工場の見学ができるところもあります。「奄美大島酒造」や「町田酒造」、「富田酒造」、「弥生酒造」などが工場見学を行っています。
他には、奄美の「黒糖」や、黒糖を使用したお菓子もたくさんあり、ミネラルたっぷりの優しい甘さでお土産としてとても人気があります。
伝統工芸を体験する
奄美大島の伝統工芸品である「本場奄美大島紬(おおしまつむぎ)」は世界三大織物にも数えられ、奄美が世界に誇る伝統として1300年以上前から受け継がれています。手で紡いだ絹糸を泥染めし、手織りの平織で織り上げ、気品のある艶とシワになりにくいしなやかな着心地が特徴です。大島紬に描かれる紋様は奄美の豊かな自然がモチーフになっていて、30以上の工程を経て完成するため、一つ作り上げるのに半年から1年を要します。たくさんの職人の技術と守り抜かれてきた伝統で作られる織物は、150年から200年は着られるほど丈夫なため、「いつかは着てみたい」と誰もが憧れる着物の代表格となっています。
「大島紬村」では生産工程の見学をすることができます。また、ハンカチやTシャツなどの泥染め体験や、織り体験、着付け体験も行っています。雑貨や小物などの商品を手頃な価格で販売しているので、お土産としても人気です。
染める工程の見学と泥染め体験は、龍郷町にある「金井工芸」や「肥後染色」等、体験できる施設が他にもありますので、ぜひオリジナルのものを作ってみてはいかがでしょうか?
注意点&アクセス
奄美大島を訪れる前に必ずしておきたいことが、宿と体験ツアー、レンタカーの予約です。奄美大島は意外と大きな島で、北の奄美空港から南の瀬戸内町まで車で約2時間かかります。レンタカーを借りる方は事前予約を、そして路線バスを使う方は本数が少ないので、あらかじめ行く場所と時間を調べておきましょう。路線バスでは行けないようなところもあるのでご注意ください。
定番スポット以外にも空港近辺には美術館やきれいな海岸があるので、寄り道などをしていると意外と時間が足りないかもしれません。観光の際は2泊~3泊滞在されることをおすすめしています。
また、冬は風が強いので、雨風をしのぐような防寒着を持参してください。夏には日除けができる帽子やサングラス、UVカット付きのパーカーなどで紫外線対策を。動きやすい、アクティビティに応じた格好でお越しください。
支払いに関しては、モバイル決済やクレジット決済ができるお店が増えてきているので、そこまで困らないと思いますが、現金のみのお店もありますので、ある程度の現金も用意しておくと便利です。
奄美空港へは、羽田、成田、伊丹、関西、福岡、沖縄の県外各空港から直行便(JAL、ピーチ)が飛んでいます。また、鹿児島空港経由(JAL、スカイマーク)という選択もあります。フェリーは鹿児島発と沖縄発のものがあります。パッケージツアーもあるのでそちらもぜひチェックしてみてください。
最後に
世界自然遺産に登録されて、ますます人気を集める「奄美大島」。豊かな自然やめずらしい動植物はもちろん、透き通るほど美しい海は時を忘れてしまいそうなほど。大自然に癒されたら、島に根付く伝統と歴史にもぜひ触れてみてください。古くから守り続けられた海も、山も、伝統も、大切に残していきたいものですね。
※ お出かけの際は、新型コロナウイルス感染症に関する県や市町村が発表する情報に留意の上、「新しい旅のエチケット」を参考に基本的な感染対策を徹底してください。
鹿児島県
2つの世界遺産(屋久島・奄美)周遊促進事業
奄美・沖縄世界自然遺産
奄美大島・徳之島は沖縄本島北部・西表島とともに2021年7月26日に登録された「世界自然遺産」です。