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福岡市最北端の小呂島とは?日帰り推奨の漁師町に残る魅力と行き方

2024.12.06

福岡市最北端の小呂島とは?日帰り推奨の漁師町に残る魅力と行き方

福岡市西区に位置する小呂島(おろのしま)をご存知でしょうか。玄界灘に浮かぶ小さな島へは、姪浜港から約65分で渡ることができます。目立った観光スポットがあるわけではないですが、地元の方々と島猫の暮らしが紡がれていて、美しい海を眺めることができる離島です。晴れて空気の澄んだ日には、対馬や遠くの韓国まで見えることもあります。
今回は小呂島の見どころや行き方についてご紹介します。基本的に日帰りで訪れることになるため、限られた時間で島を満喫するために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

#福岡県 離島 #福岡市 離島
文章・写真:りとふる編集部

アイランダーパスポート

小呂島について

小呂島_漁港_241227

玄界灘に浮かぶ、福岡市最北端の離島「小呂島(おろのしま)」。面積約0.43km²、人口200人弱で、島民のほとんどが漁師として働く漁師町の小さな島です。一般的な鮮魚店や八百屋はなく、漁で獲れた魚や島の畑で採れた玉ねぎなどの野菜を島民同士でお裾分けする文化が今も残っています。一般的には知名度が高いわけではありませんが、釣り好きの人には絶好のスポットとして知られ、防波堤では釣りを楽しむ人をよく見かけます。

小呂島_七社神社購買店前_241227

港がある島の南側に住宅や公民館・保育園・購買店などが集まり、小学校と中学校は北側の高台に建てられています。島を一周する道路はなく、南側から小中学校までを結ぶメイン道路と呼ばれる1本道があります。
メイン道路を上がって行く途中にある小呂公園からは、小呂島の住宅地とその先の漁港、さらには水平線まで一望することができます。

小呂島には宿泊施設がないため、基本的に日帰りで訪れることになります。その場合、小呂島に船が到着してから帰りの便が出発するまでの約3時間が観光のタイムリミットです。「何もない島」と表現されることも多い小呂島ですが、実は見どころがいくつもあり、それらを満足して回るには1日では足りません。ぜひ繰り返し訪れて、島を満喫してくださいね。

小呂島のお店と飲食店

2025年7月頃に福岡市初の地域おこし協力隊員が手掛ける飲食店がプレオープンする予定ですが、2024年現在は飲食店がありません。
購買店が1つありますが、土日祝日は店休日なので注意が必要です。また、平日も12時~13時の1時間は休憩時間で購入できないため、小呂島へ行くときは本土から軽食を持って行くのがおすすめです。
小呂島のお土産品として知られる「島ごはん」シリーズは、購買店で購入することができます。
飲料は、購買店のほか小呂島旅客待合所の裏にある自動販売機で購入ができます。
島内にはごみ処理施設がないため、ごみ用のビニール袋などを持参し、持ち込んだごみは各自持ち帰るようにしましょう。

最北端の島ならではの歴史を伝える戦跡

小呂島_海軍望楼跡・弾薬庫跡_241227

小呂島には太平洋戦争時の砲台跡や弾薬庫跡、海軍望楼跡が残されています。それぞれの入り口には島の子どもたちが作った看板が建てられていますが観光用に整備されているわけではなく、整備されていない山道を進んでいきます。特に、砲台跡や海軍望楼跡は草が茂って見た目ではわかりませんが、数歩先は崖になっている場所もあり、手すりや柵などがないため1人で行くのはおすすめしません。今回は取材のため先導していただきましたが、島民の方でも夏は暑すぎるため行かないそうで、12月前半に訪れても汗ばむほどでした。
同じく山の中ではあるものの、弾薬庫跡は比較的訪れやすいので、どうしても1人で見に行きたい方は弾薬庫を目指すと良いでしょう。

小呂島_弾薬庫跡_241227

弾薬庫跡は、砲台跡の少し南側に位置します。木々に覆われた中にコンクリートが埋め込まれたような異物感がアニメーションの世界のような雰囲気を醸し出しています。
中に入ると、外観で想像するよりも天井が高く人が1人通れる程度の狭い通路が伸びています。少しひんやりとするような空気感が漂いますが、昭和からそのままにされているとは思えないほどコンクリートの壁はきれいです。

小呂島_弾薬庫跡②_241227

薬室の中を覗ける窓のような円形の穴を過ぎ、通路を進んで行くと左右に2つの部屋が現れます。携帯電話のライトでは光が吸い込まれてしまうほど肉眼で見ても真っ暗ですが、鉄骨のような物で支えられたアーチ状の室内です。

小呂島_海軍望楼跡_241227

次に訪れた海軍望楼跡は、高台から海軍が見張り場として使っていた2階建ての建物です。1階には当時のまま天井からたくさんのボルトが刺さっていたり、炊事場なのか藁のような草が積み上げられています。建築関係に詳しい視点から見ると、同じ幅の材料を用いて作られた建て方や、建物の外観を囲う石の積み上げ方、さらに外側の石垣も高い建築技術だそうです。階段で2階へ上がると、窓からの光が増え明るくなります。

小呂島_海軍望楼跡②_241227

屋上からは、美しい水平線を一望できます。草木が茂りすぎていてわかりませんが、一歩足を伸ばすと崖で海まで墜落する危険な場所でもあるため、くれぐれも無理に訪れないようにしてください。とても見晴らしが良いですが、入口が2つ設けられているなど、戦時中に万が一敵が来た時のことを想定して建てられたということも感じられます。

小呂島_砲台跡_241227

最後に観光では訪れることが難しい砲台跡をご紹介します。島の北側に位置し、小呂小中学校の校門を入り校舎裏手にある山の斜面を登って行きます。(敷地内に入る際は、小中学校にて許可を取得してください。)
急な斜面を綱を支えにして上がっていきます。舗装はされていないものの、踏み固められてうっすらと道があるのがわかります。
時折大きな倒木を乗り越えつつ、話しながら歩くと息が切れるほどの山道を15分ほど進んで行くと砲台跡に到着します。当時、大砲を1発のみ発射しましたが不発に終わり、そのまますぐに終戦を迎えました。現代でも本土から船で1時間以上かかる孤島の山の上まで大量のコンクリートを運んだと考えると壮絶です。

小呂島の観光スポット

小呂島_小呂島旅客待合所顔はめパネル_241227

特別に作られた展望台やアトラクションはありませんが、のんびりと穏やかな島時間を過ごすことができます。
小呂島では“小呂島ニャンコ隊”の方々が定期的に餌やりをしているためもあるのか、人懐っこい野良猫が多く、猫から近づいてきてくれることもしばしばあります。また、漁師の方々が漁を終えて獲れたての魚で猟師飯を食べていると、どこからともなくたくさんの猫たちが現れます。

小呂島_天然魚_241227

小呂島_こねくり_241227

小呂島の漁師飯として有名な「こねくり」は、玄界灘で獲れた天然のブリやヒラマサなど新鮮な魚を刺身のように切り落として醤油ダレに漬けた物で、大胆に切られているため通常の刺身より少し分厚い刺身も多く、漁師ならではの贅沢な一品です。

小呂島の3大神社

小呂島_七社神社_241227

島内にはいくつかの神社がありますが、現在は島内に神主がいないので通常は島民が交代制で管理を行い、神事がある時は本土から渡られています。
小呂島で1番高い山に建ち200段の階段を上がった先にある嶽宮神社(たけみやじんじゃ)、メイン道路の麓あたりに建つ七社神社(しちしゃじんじゃ)、海のすぐ脇にある恵比寿神社の3つが特に有名です。

毎年8月に行われる「万年願」では無病息災と大漁を祈願し、島の小学生が「三番叟」という奉納歌舞伎の文化が今も残されていて、嶽宮神社、七社神社、恵比寿神社の3か所で奉納されます。

この他にもいくつか神社がありますが、どこも島の方々が大切にしている場所なので敬意を持って訪れてくださいね。

穴場絶景スポット

小呂島_小呂島港_241227

メイン道路を上がっていくと、坂の途中や小呂公園から島と水平線を一望できる眺めの良い場所がいくつかありますが、実は防波堤からの眺めが絶景で、福岡市とは思えないほど透き通る海のグラデーションを楽しむことができます。よく見ると、小さな魚が群れで泳いでいるのも見ることができます。
港の左右それぞれの防波堤で景色が異なるので、時間があればぜひ両方訪れてみてください。

小呂島への行き方

小呂島_ニューおろしま_241227

福岡市の姪浜港から高速船で約65分で小呂島へ行くことができます。
姪浜港からは能古島(のこのしま)へ行く船も就航しているため、姪浜港旅客待合所は通称 能古渡船場と呼ばれ、西鉄バスのバス停の名前も「能古渡船場」とされています。

毎週火・木・土・日曜日…姪浜発9:00、小呂島発13:20
姪浜港~小呂島…高速船で約65分、1,790円
※月・水・金曜日は同日中に小呂島から本土へ戻ってくることはできません。
※現在小呂島には宿泊施設がないため、島での宿泊はできません。

姪浜港には券売機がありますが、小呂島行きの切符は券売機では購入できないため、窓口に並んで購入しましょう。小呂島航路は欠航率が高いと言われています。海況が不安定な日は窓口で尋ねると「今日は帰りの便が怪しいので急ぎでなければ延期した方が良い」など、アドバイスをもらうことができました。

姪浜旅客待合所_能古小呂島のりば_241227

新幹線が着く博多駅または飛行機が着く福岡空港から姪浜駅までは、福岡市営地下鉄空港線の直通便で移動できます。また、姪浜駅北口のバス停から姪浜港へは、西鉄バスで約15分です。

福岡空港駅~姪浜駅…地下鉄で約25分、340円
博多駅~姪浜駅…地下鉄で約20分、300円
姪浜駅~姪浜港…バスで約15分、210円

最後に

福岡市西区、玄界灘に浮かぶ「小呂島」についてご紹介しました。
冬は船の欠航率が高く、日帰り旅行の計画が難しいかもしれませんが、春先からは比較的安定することが多いです。ぜひ、福岡へ訪れる際は一歩足を延ばして「何もない贅沢」を楽しんでみてください。

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