「沖縄の海のまっ白な真実。」美しい沖縄の海とサンゴを次世代へ
株式会社NTTドコモは、3月23日(火)の世界気象デーに合わせて新聞広告「沖縄の海の真っ白な真実。」を、特設サイトと琉球新報・沖縄タイムスにて掲載します。地球温暖化など、環境ストレスで白化し続けているサンゴの実態をお伝えします。
「白いサンゴ」の現状
沖縄の海のまっ白な光景。一見美しくも見えるこの光景は、瀕死のサンゴの骨格が透けて見えて白く見えてしまっている状態です。本来であれば、元気なサンゴには褐虫藻という藻類が共生し、鮮やかな彩りを与えています。まっ白なサンゴは、実はSOSのサインを出しています。
サンゴ礁は地球の0.1%の表面積を占めるにすぎませんが、海にとっては9万種もの多様な生物が生息する場所として、人間には漁業や観光の資源として豊かな価値を提供しています※1。天然の防波堤ともなり、生き物に多大な恩恵を与えてくれるサンゴですが、近年は温暖化等、気候変動などの環境負荷によって減少し、急速に衰退しています。
※1:国立環境研究所「環境儀 53号 サンゴ礁の過去・現在・未来」(2014)
沖縄県の石垣島と西表島の間に位置する日本国内最大のサンゴ礁、石西礁湖では、サンゴが分布している面積は約130km2、2016年夏には高水温で全体の97%のサンゴが白化し※2、白化の影響を受けた範囲は東京ドーム約2700個分の広さに相当します。
※2:石西礁湖自然再生協議会「石西礁湖自然再生全体構想」(2007)、環境省那覇自然環境事務所「西表石垣国立公園石西礁湖及び慶良間諸島国立公園のサンゴ白化現象の調査結果について」(2016)
「白いサンゴ」の原因
サンゴの白化の大きな原因の1つにCO2増加による地球温暖化が挙げられます。サンゴは褐虫藻を体内に共生させ、その光合成による生産物に頼って生きています。地球温暖化が進むと、褐虫藻の光合成がうまくいかず、サンゴから褐虫藻が失われます。このときに、サンゴの白い骨格が透けて見え、白化が発生します。
他にも化学物質、土砂などの流入による海洋汚染も白化の原因といわれ、近年はマイクロプラスチックも白化の原因の可能性があると指摘されています。環境が回復すれば褐虫藻を再び取り込み、サンゴは健全な状態に戻りますが、環境が回復せず白化が長く続くとサンゴは死んでしまいます※3。今、私たちの行動がサンゴの未来に大きな影響を与えているのです。
※3:地球環境研究センター「ココが知りたい地球温暖化」(2013)
(素材提供:山野 博哉氏)
こうした今の沖縄の現状を踏まえ、ドコモは世界気象デーである3月23日に沖縄のサンゴ白化現象の真実を伝える新聞広告を掲出しました。これまでドコモはドコモグループが掲げる地球環境憲章に基づき、世界自然遺産推進共同企業体の発足や、画像認識AIによる密猟密輸対策実証実験など、沖縄の環境や生物多様性の保全に取り組んできました。今回の「沖縄の海のまっ白な真実。」というメッセージを通じて、ひとりひとりができることを考える機会を作り、美しい沖縄の海とサンゴを次世代へつないでいきたいと考えています。
監修:山野 博哉 氏
・日本サンゴ礁学会会長
・国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター センター長
今、沖縄のサンゴと環境のためにできること
わたしたちが日々の生活でできる行動
日常生活ではエコバッグを使用する、エアコンの設定温度をあげる、ゴミを分別する。海ではゴミを持ち帰ることや、オキシベンゼン、オクチノキサートなど海洋に有害な成分を含んだ日焼け止めクリームを使わないなど、日々のちょっとした心がけが、沖縄の美しいサンゴを守ることにつながります。
ドコモグループの取り組み
私たちドコモグループは地球環境憲章を掲げ、温室効果ガス排出を抑制するなど、環境に配慮した事業の実践に加え、沖縄の豊かな自然や独自の文化の保全活動を継続し、次世代へ受け継ぐための取り組みを推進しています。
また、ドコモはCSR方針で「国や地域、世代を超えて、人々がよりあんしん・安全かつ快適で豊かに暮らすことができる社会」をめざしており、これはSDGsの目的と同じです。
今回の取り組みは、SDGs 17のゴールのうちのひとつである「14.海の豊かさを守ろう」にもつながると考えます。ドコモはこれからも地球環境保全に貢献する活動に積極的に取り組んでいきます。
スタッフリスト
ECD:藤井 徹/CD:守田健右/PL:菅野晴彦/加形良介/CW : 松田伊久磨/AD : 後藤浩文/D:山本万純/レタッチ:中村洋平/LP:平井辰夫/Pr:渡辺知明/池田悟/AE:堀内務/岡浩二郎/飯村泉月
日本サンゴ礁学会会長 山野 博哉氏コメント
最近、高水温によるサンゴの白化が増えています。沖縄では、1998年に大規模な白化が起こり、その後2007年と2016年にも大規模な白化が起こりました。2016年の白化では、沖縄だけでなく全世界のサンゴ礁の約3割が影響を受けたと報告されています。影響を受けた面積を計算すると、東京ドーム約176万個にあたります。※1
わたしたちが普段生活しているなかでは、陸の変化は見ることができても、海の中のサンゴの状況を知る機会はほとんどありません。まずは、地球温暖化によって海の中でサンゴの白化という大きな変化が起こることを知っていただくことが第一で、この広告のように、地球温暖化の影響の大きさを伝えていくことが大変重要だと考えます。さらに、地球温暖化を防止するために日常生活でできることを考え、取り組んでもらうことがサンゴの白化を減らしていくことにつながります。
※1:全世界の100のサンゴ礁のうち、30%が白化したのは42箇所、30%以下が白化したのは12箇所(Hughes et al., 2018)。中央値をとって30%以上が白化=65%が白化、30%以下が白化=15%が白化とすると、全世界のサンゴ礁の29.1%が白化の影響を受けたと推計されます。全世界のサンゴ礁面積は284,300km2(詳細はこちら)なので、82731.3km2が白化の影響を受けたと考えられます。
山野 博哉氏 プロフィール
日本サンゴ礁学会(公式HP)会長
国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター/センター長
環境と生態系の時空間変動、特にサンゴ礁の環境史・モニタリング・将来予測を課題に研究を進める。
主な著書は、
『サンゴの白化は温暖化のせい?ココが知りたい地球温暖化』成山堂書店, 東京(2010)
『サンゴの海を調べる. In: 日本サンゴ礁学会編「サンゴ礁学」』東海大学出版会, 神奈川(2011)
など多数。
制作クリエイター 守田 健右コメント
SDGsに関わる業務に、クリエイターとして関わるプロジェクトが増えてきました。「企業の意志×クリエイターのアイディア」の可能性が高まっています。地球環境に対するドコモさんの想いに共感し、ディスカッションを重ねる中で、この新聞広告は生まれました。
沖縄の海が好きで何度も行ったことがありますが、白いサンゴの化石でできた島や海の中で見るまっ白なサンゴを美しいと思っていました。それが、弱っているサンゴのSOSだと知った時の驚きは今でも覚えています。趣味で釣りやカヤックを楽しんでいることもあり、美しい海を守りたいという意識はある程度あるつもりでしたが、思いだけでは環境を守れない、正しく事実を知ることがとても大切だということを痛感しました。弱っているサンゴを美しいとさえ思ってしまうこの現状を変えることは、サンゴの未来を守るためにとても重要です。
沖縄の海のまっ白な真実を伝えることで、サンゴ白化問題を、一人でも多くの人に自分ごと化してもらいたい。ちょっとしたことでいい、一人ひとりができることを今日からはじめてもらえたら。この新聞広告にはそんな願いが込められています。
守田 健右 プロフィール
Creative Director(ADKクリエイティブ・ワン)
日本中が感動するCMの企画・演出。ギネス認定されたフォトコンテストの審査員。
世界中を驚かせるユニークなVRガジェットの発明。誰もが知っている流行語の発信。
年末の風物詩となった格闘技イベントのクリエイティブディレクション、等々。
広告賞受賞に加え、広告の枠を超えて話題となるクリエイティブを発信し続ける。
[AWARDS]
ACC, 朝日広告賞, P-COM福田繁雄賞・立木義浩賞, 日テレCM大賞審査員特別賞,
流行語大賞ノミネート. JPCMHD THE VERY BEST OF 2016,
コードアワード2018ベストエフェクティブ, APAアワード入選, 他
「世界で最も応募作品数の多い写真コンテスト」ギネス認定(企画・演出・審査員)