大東諸島
那覇から飛行機で1時間、日帰りもできる絶海の孤島「南大東島」へ
沖縄の離島と言えば、白い砂浜とエメラルドグリーンの海、あるいは赤瓦の古民家が並ぶのどかな集落を思い浮かべるのではないでしょうか。
もし、そのような“よくある沖縄のイメージ”を期待してこの島を訪れると、良い意味で激しい衝撃を受けることになるでしょう。
今回ご紹介するのは、沖縄本島から東へ約360km、太平洋のど真ん中にポツンと浮かぶ「南大東島(みなみだいとうじま)」。島には海水浴ができる砂浜は1つもなく、それどころか、島を囲むのは荒波が打ち付ける切り立った断崖絶壁。島に一歩足を踏み入れれば、沖縄特有の琉球文化ではなく、遥か北方の八丈島(はちじょうじま)から伝わった独自の文化が息づいています。唯一無二の個性を放つ、文字通りの“絶海の孤島”と言えます。
南大東島の魅力を「アクセス」「絶品グルメ」「地球の鼓動を感じる観光スポット」の3つの軸からご紹介します!
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文章・画像提供:sakaibuuさん
南大東島の魅力①「アクセス」
南大東島へのアクセスは、飛行機かフェリーの2択です。
■飛行機

那覇空港からJALグループの琉球エアーコミューター(RAC)がプロペラ機を毎日1往復~2往復の運航をしています。
那覇からの所要時間はわずか約1時間。本島から約360kmも離れていますが、決してアクセスは難しくないと思います。
■フェリー

那覇の泊港から大東海運がフェリー「だいとう」を運航しています。ただし、月に数便しか運航がなく、太平洋の外海を航行するため片道約15時間もかかり、船の揺れも激しいと言われています。
南大東島・北大東島は、荒波で港に船を直接接岸することができないため、乗客はクレーンに吊り下げられたゴンドラに乗って上陸するという、日本国内でも超レアな体験をすることになります。
私は迷わず飛行機を選択!那覇空港を8時台に出発して島に到着し、空港でレンタカーを借りて島内をぐるりと一周しました。島グルメを楽しんで、島内を散策して、夕方前の便で那覇へ戻るという日帰りプランです。
もちろん、じっくりと滞在して島の夜の風情を楽しむのがベストですが、限られた日程しか取れないけれど、ディープな島に行きたい!という方にとって、この飛行機の1日2往復もあるのは便利です。
南大東島の魅力②「絶品グルメ」

東京都伊豆諸島の1つである八丈島から伝わる独自の食文化となった絶品「大東寿司」。大東島の名物と言えば、大東寿司を思い浮かべる方は多いと思います。
サワラやマグロなどをみりん醤油の特製ダレに漬け込み、やや甘みの効いた酢飯と合わせて握った寿司です。ピリッと効いたワサビが完璧な三位一体となって押し寄せ、絶品!
那覇空港の空弁としても大人気の大東寿司ですが、やはり現地ならではのできたての艶と風味は格別です。
南大東島は、何百年も人が暮らしてきた他の沖縄の島々とは異なり、明治33年(1900年)まで無人島でした。この島に命がけで上陸し、未開のジャングルを切り拓いたのが、東京都伊豆諸島の八丈島からの開拓団だったのです。そこで故郷・八丈島の郷土料理である「島寿司」の文化が持ち込まれました。

「大東そば いちごいちえ」などの食堂で、太くてコシが強く、あっさりとしたスープが特徴の大東そばと大東寿司のセットを味わうことができます。
南大東空港でも購入できる大東寿司が特においしく、衝撃的でした。
南大東島の魅力③「地球の鼓動を感じる観光スポット」
南大東島は、数百万年をかけてサンゴ礁が隆起してできた、お椀の形をした火山島(隆起環礁)です。中央が低く盆地のようになっていて、アップダウンが激しいため車で観光するのがおすすめ!
■星野洞(ほしのどう)

島内には、なんと1,000を超える鍾乳洞(地下の空洞)が存在すると言われています。一般観光客向けに公開されている「星野洞」は息をのむような大空間が広がっています。星野洞の凄みは、圧倒的な美しさと保存状態。鍾乳石が今もなお純白、あるいは淡い透明感を保っています。
天井から無数に垂れ下がるストローのように細く繊細な鍾乳石(ソーダストロー)の密度は、アジア随一だとか。ひんやりとした静寂の地底世界で、何万年もの時間をかけて形成された自然の芸術に包まれる時間は、言葉を失うほどの感動です。
■バリバリ岩

地球が裂けるエネルギーを体感でき、南大東島で絶対に外してほしくないスポットの「バリバリ岩」。
南大東島は、フィリピン海プレートという岩盤に乗っているため、現在も年間約5cm〜7cmずつ、北西(沖縄本島側)に向かって移動を続けているそう。その移動による凄まじい地殻変動のエネルギーによって、文字通り岩山がバリバリと真っ二つに引き裂かれてできた巨大な大地の亀裂です。
深い緑に覆われたビロウ林の細い遊歩道を歩いていくと、突如として目の前に現れる巨大な岩の壁。その裂け目の細い隙間を歩くと、大自然のパワーを肌で感じるパワースポット!太陽の光が岩の間から差し込む正午頃に訪れるのがおすすめです。
■海軍棒プール/塩屋海水プール

「海軍棒プール」や「塩屋海水プール」は、波が荒い外海の岩場をダイナマイトなどで掘削して作られた人工プールです。すぐ目の前では太平洋の荒波が白い飛沫を上げて激しく岩壁に激突していますが、プールの中はコンクリートの壁に守られて穏やかです。
波が荒い日など危険な場合もあるので、訪れる際は事前に海況などを確認して足元の注意が必要です。
■シュガートレインの軌道跡

島全体がサトウキビのモノカルチャー(単一栽培)で発展してきた南大東島ですが、かつて、広大なサトウキビ畑から収穫したキビを製糖工場へと運ぶため、島中を縦横無尽に網の目のように走り回っていた鉄道がありました。それが「シュガートレイン」です。
沖縄県内において、戦後も長く走り続けた唯一の本物の鉄道でしたが、昭和58年(1983年)にトラック輸送へと切り替わり、惜しまれつつも廃線となりました。
現在でも、サトウキビ畑には当時のレール跡や錆びついた鉄橋の遺構が残されていて、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。また、島内の「ふるさと文化センター」には、島を疾走していた実物のSL機関車(蒸気機関車)やディーゼルカーが美しく静態保存されています。
■日の丸山展望台

島で最も高い場所の1つである「日の丸山展望台」から周囲360度を見渡すと、中心に向かって土地が低くなり、見渡す限りのサトウキビ畑が広がっています。視線を遠くへ移せば、どこまでも深い“大東ブルー”の太平洋が水平線を描いています。
遮るものが何もないこの場所から眺める夕日が美しいそうで、今度は泊まって見てみたいものです。
■西港(にしこう)

島の西側に位置する「西港」から海を見下ろすと、衝撃を受けます。浅瀬がほとんどなく、岸から数m先は一気に水深数十m、数百mへと落ち込んでいるため、海の青さが尋常ではないのです。
エメラルドグリーンではなく、吸い込まれそうなほど深く、濃く、鮮やかなコバルトブルーは、“大東ブルー”と呼ばれています。
■本場海岸から眺める北大東島

島の最北端に位置する「本場海岸」からは、海の向こうに平らな「北大東島」の影がくっきりと浮かび上がっているのが見えます。その距離、わずか約20km。
現在は、南大東島と北大東島を直接結ぶ定期航空路線(直行便)は基本的に運航されていません。基本ルートはすべて那覇発着のみです。つまり、すぐそこに見えている隣の島に行くために、約360kmも離れた那覇空港まで戻り、そこから改めて北大東島行きの便に乗り直さなければならないのです。ただ、フェリー「だいとう」が南北間を移動するタイミングに運良く合わせられたら海路で渡ることもできますが、運行スケジュールは非常にシビアです。
手を伸ばせば届きそうなほど近いのに、移動のハードルを考えると遥か彼方に感じられる、近くて遠い姉妹島。「本場海岸」は、より北大東島にも行きたい気持ちにさせてくれる場所でした。
次の旅は、五感を揺さぶる「絶海の孤島」へ

南大東島は、一般的なのんびりとした癒しの南国リゾートではありません。そこにあるのは、荒々しい太平洋の大自然と、地球が動いていることを証明する奇跡の地形。そして、東京都八丈島の江戸文化と、沖縄の琉球文化がチャンプルー(融合)して生まれた、日本国内のどこを探しても見つからない独自のアイデンティティです。
いつもの定番の観光旅行を飛び出して、五感を揺さぶる南大東島を次の旅に決めてみませんか?





